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ソトコトに逆取材したらわかった「本」と「未来」の関係

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本日、10月5日(月)発売の「ソトコト」(2020年11月号)のテーマは「未来をつくる本」

書店の新しいカタチや生き方を教えてくれる図書館など、わくわくするブックスポットの紹介。さらに「未来をつくる本を選ぶ」をキーワードに、社会と地域をおもしろくしている豪華キーパーソンによるブックカタログなど。「読書愛」にあふれた特集となっています。

その中でライツ社も出版社を通して見る未来という視点で取り上げていただきました(なんと6ページも!)。以下、特集の目次です。

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取材を受ける中でいろんなご質問を受けました。「未来につながる仕事とは?」「この本はどう企画されたんですか?」。ご質問に答えながらふと、ソトコト編集部のみなさんはどのように考えているんだろう?という考えがよぎりました。

そこで「なんでテーマが『未来をつくる本』なの?」「実際に取材してみて何がおもしろかった?」「そもそもなんでライツ社?」こんなことをライツ社から逆取材しました!

話を伺ってみると、改めて本に関わる人たちっておもしろいことに気づかされました。そして、本を読むことが未来につながる理由も。

逆取材したらわかった「本」をテーマにするワケ

ーまず思い浮かんだのは、未来を語るうえで、なぜ「本」なのか? そんな疑問でした。というわけで質問。なぜ今、本にクローズアップしたテーマで特集を組んだんですか?

ソトコト編集部:
近年、小誌「ソトコト」編集部では秋から冬にかけて来年1年分の特集案を考えています。

毎年人気のある特集(デザイン、プロジェクトなど)から、この年ならではの特集(東京など)、そして未来にむけた新しい視点の特集(SDGs、ウェルビーイングなど)など多視点で構成していますが、すべて「社会や環境がよくなって、そしておもしろい」という雑誌全体のテーマに基づいた内容になっています。

その中で本特集は、2016年から毎年1回、何かしら本に関連した号をつくっているほどの人気のある特集でもあり、現在のローカルヒーロー(*1)に学ぶことに加えて、過去やジャンル違いなど他視点と出合うことで思考を深め、これからを考えるきっかけとなる大切な特集として、2020年のカテゴリーにも追加しました。

(*1)
ソトコトでは、「生身で等身大だけれど、その人物が作用することで、仲間を巻き込み、普段のまちに熱波が静かに広がり、地方が未来へと前向きに動く。そんな愛すべき人たちのこと。地域で幸せを見つけている人たちのこと」を、ローカルヒーローと定義しています。
(「ぼくらは地方で幸せを見つける」指出一正著、ポプラ社 より)

本の特集を年1で行ってはいますが、切り口はその年ごとに違っています。

去年のこの時期に考えていた「本特集」からも、社会が大きく変わろうとしているいま、本特集をやる意味があるのか、あるとするならどんな視点なのか、などを日々編集部内話し合ってきました。

その結果、以下のような特集をつくることにしました。


まるで友達の様に、本が教えてくれることは多いのです。その時は気がつかなくても、「なるほど、そういう意味だったのか!」と、後からわかるような、ひらめく様な、自分がゆっくりと、しかし確実に成長する力を、本は誰にでも与えてくれます。成長とは、前を行く行為、そして未来を感じる喜びです。今回の特集は「未来をつくる本」。暮らしをおもしろくする本と出合い、生き方を知る本を選ぶ。あなたの本棚やお手元に置いてもらえたらうれしい、そんな本たちの登場です!

本屋は「ただ本を売っている場所」だけではない

ー目次を見るだけでもどんなスポット、本が登場するのかとても楽しみです。実際に取材に行かれて感じたこと。特に印象深かった取材先など教えてください。

ソトコト編集部 竹中さん:
編集部の総括ではなく、私個人の感想となりますが、目の前に霧がかかっていると思っていたが、横を向いたら視界は良好で振り返る選択肢もそりゃあって、さらには霧の先は怖さだけではないのかもしれない、と、ちょっと鈍くなっていた思考や感覚が広がった感覚を、日増しに感じた取材でした。

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例えば、『読点magazine、』をつくり、この冬本屋をオープンさせようとしている古賀詩穂子さんは、1日1軒が廃業している計算になる本屋の現状を十分知っている上で、融資を受け、開業へと邁進されています。

すべては自身が「本屋に行く」ことで感じていた「森林浴のようであり、ヨガをしてリフレッシュをしたような感覚」に救われ、そしてそんな感覚を、今度は自分が必要としている人に届ける側になりたい、というしなやかで強い思いがあるからです。

そんな彼女の思いに、編集者としても、個人としても、共感するところや刺激をもらうところが多く、本屋という場所が「ただ本を売っている場所」というだけではないことを改めて認識し、思いとその行動力の持つパワーに、大きな可能性を感じる取材でした。

また、「サスティナブルブックガイド」では、小誌が「未来」をテーマに、今読者に届けたいカテゴリーを話し合い、決めた、19のカテゴリーとその選者による選書(各5冊)が掲載されています。

どんなカテゴリーを届けたいと思ったのか、そしてそのカテゴリーをどんな人に回答してもらいたいと思ったのか、ぜひ楽しみながら見ていただければと思います。そして新しい扉が皆さんの中でも開くとうれしいです。

本当に素敵な選者、そして選書ばかりで私も私用に何冊も購入してしまいました。

なぜライツ社に取材依頼が?

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『ライツ社』が照らす、出版業界のこれから。
現在社員は5人、年間の出版点数はおよそ6冊。兵庫県明石市に本拠を置く創業5年目の出版社『ライツ社』は、自分たちが熱狂したものをより多くの人に届けるために、ていねいに編集をし、営業を重ね、全力で広報をしている。時代に寄り添い、出版業界全体を盛り上げたいという彼らの思いの先にあるものとは。
(ソトコト11月号:ライツ社ページのリード文より)

ーなぜ数ある出版社の中でライツ社を選んでいただいたんでしょう?

ソトコト編集部 竹中さん:
特集で紹介させていただく取材先は、今号は大きく8つに分かれています。

本をつくろうとしている人、つくっている人、本を届ける人、届ける場所をつくる人、カテゴリーに対して本で誘う人など、ここでもさまざまな視点から、「未来をつくる本」をお届けできる様に構成しました。

その中で、ライツ社に取材をお願いしたいと思った一番の理由は、出版業界の未来を自分たちのサイズで、力強く、そしておもしろそうに、牽引している人たち(会社)だなと感じたからです。出版社からの視点は今号はライツ社のみです。

この時代に、そして兵庫県明石市に立ち上がった出版社が、重版を続けベストセラーを世に送り出している。

さらには、自分たちの本のことだけでなく、業界の未来を考えた発信「note」に力を置いている。

何よりも、当人たちが楽しそう(勝手に発信している内容から察して)だ。
本を作り、届ける側の視点を入れたいと思った時、上記の内容だけでも、今回の特集で声をかけさせていただく理由は十分でした。

爽やかなプロフィール写真に誤解しました(笑)

ーありがとうございます。実際ライツ社に明石に来ていただき、会ってみてどうでしたか?

ソトコト編集部 竹中さん:
率直に、ものすごい熱量を感じました。ただ、ブワーーーッと押し寄せる熱波のようなものではなくて、飄々とした軽やかなランプの様に見えるのに、近くにいってみるとどしんと重い、静かな熱量という感じです。爽やかなみなさんのプロフィール写真に誤解しましたね(笑)。

ーすみません(笑)。代表2人もこんなことを答えていましたよね。

大塚「(本の基準は)社名に込めた『write』『right』『light』-書く力で、まっすぐに、照らす-という思いに沿っているかどうか。そしてたとえおもしろくても、誰かを傷つける可能性があるものは企画しません。僕らは『本の未来』なんて考えたことはないけれど、その思いだけを胸にただがむしゃらに走ってきました」
高野「僕自身が10代の頃、本に救われた原体験をもっているので、自分が熱狂できるもので、読んだ誰かが救われるような企画を本にしたいです」「いい本さえ出せば、売れなくていいとはまったく思ってなくて、本はある程度売れないと必要な人のもとへ届かない」

ソトコト編集部 竹中さん:
その重さ(実直な真剣さ)にいい意味のギャップを感じながら、自分たちのつくりたい未来のための選択、そして感じた「おもしろい」を形にして発信していく真面目さと楽しさに同じ出版社として、そして発信者として、大いに刺激を受けました。

この刺激は出版社で勤めているひとだけに通じるものではなく、各地でものごとを発信している人、プロジェクトに関わっている人など、伝えたい思いのそばにいる人みなさんに感じていただけるものだと思います。

出版、おもしろいですよ!

ーめちゃくちゃ嬉しいです。今回は逆取材させていただき、ありがとうございました。


「未来をつくる本」。本には無限の可能性があると僕たちは信じています。ソトコトさんの言葉をお借りすると、「自分がゆっくりと、しかし確実に成長する力を、本は誰にでも与えてくれます」

それはまちの書店で偶然出合った本かもしれないし、今号のブックガイドで知る本かもしれません。読書の秋です。本を開くことで未来を感じてみてはいかがですか?

「ソトコト」11月号、10月5日(月)から発売です!

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「ソトコト」11月号は本日10月5日(月)から全国の書店、ネット書店にて発売開始です。

明るい出版業界紙 on note(β)では出版業界の明るいニュースを届けています。



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