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トロントのcoolなコーヒーショップで働いてみた|世界のお菓子(食)を巡る旅#16

実は、わたし、カナダでワーキングホリデーをしていた。そして最近チャレンジの一つであったその日々が幕を閉じた。

海外旅行は慣れていても、長期間生活するというのはまた違う話だ。現地に入って、家を探し、職を見つけ、お金を稼ぎ、周りの人との関係を0から築いていかなければならないからである。日本で生活していて、人生で何度こういう状況が起こり得るか。なかなかない経験だ。

30歳という年齢で、あぁ、またここから築き上げていくのか。

不安と期待を込めて、去年の6月、トロントにコスモスと紫陽花が同時に咲く頃、生活が始まった。

運よく1週間ほどで仕事が見つかり、2週目から働けることになった。coffee barでベーカーの仕事だった。のちに同じお店でバリスタとしても働けるチャンスがやってきて、その答えも、もちろんYESだった。
お菓子づくりは経験があったからいいものの、経験ゼロのコーヒーを学ばせてもらいながら時給をいただけるのはわたしにとってチャンスでしかない。

6年前は、コーヒーより断然、紅茶派だった。しかし、世界一周をしながらコーヒーの美味しさに気づき、いつの間にか「どっちにする?」の質問には「あ、コーヒーで」がわたしの回答になった。

仕事を始めるまではコーヒーに関しての知識はまるでなく、ただ自分の好きなコーヒーや雰囲気のいいカフェを見つけるのがいわゆる”趣味の一つ”でだった。こんな、しかも英語もままならないわたしによく提案してくれたと思う。

バリスタとして働くようになってから、住んでいる街のコーヒー屋さんはもちろん、カナダから旅に出た先の国々でも有名店をまわった。知れば知るほど奥が深く、おそらくコーヒーの道にゴールはない。


カナダの年間のコーヒー消費量は1人あたり約600杯。ライフスタイルに強く結びついている。平日でも、多くの人が朝早くからカフェに立ち寄り、コーヒーと一緒にマフィンやクロワッサンを買っていったり、仕事の合間にエスプレッソをさっと飲み立ち去る人も少なくなかった。

トロントという大都会ならではのルーティンだとは思うが、わたしの働いていたカフェには大勢の常連さんがいて、チェーン店のように値段は安くないにもかかわらず、多くの人がほぼ毎日コーヒーを買いにきていた。

街ではコーヒーの大きなイベントも年に何度かあり、カッピング(テイステイング)イベントが各カフェで行われている景色もよく目にする。SNS上でも「トロントコーヒーコミュニティー」として多くの人が注目している。


コーヒーのお供として、北米ではクッキーやマフィン、スコーンなどの焼き菓子が定番。次回はこの焼き菓子についてお話しようと思う。


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