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書店営業を実演してお見せします!(ミシマ社VSライツ社)

目次
1.「ミシマ社営業部vsライツ社営業部」 話題の出版社の営業手法
2.書店営業を実演してお見せします!(ミシマ社&ライツ社)
3.ミシマ社とライツ社の営業が何でも答えます。会場からの質疑応答(8/7 18:00公開)

高野 すみません。お世話になります。
Oさん お世話になります。
高野 ライツ社の高野です。どうも。
Oさん はい。
高野 この前は飲み会で、ありがとうございました。本当に楽しくて。
Oさん 失礼なことがあったかと思ってますけど、大丈夫でした?
高野 ちょっと。いえ、大丈夫です。本当に。ありがとうございます。
Oさん ちょっと。
高野 ありがとうございます。1点ご案内したい書籍がありまして、今、大丈夫ですか。
Oさん はい。大丈夫です。
高野 ありがとうございます。こちらなんですけど、6月の12日搬入で『売上を、減らそう。』という書籍を出します。京都で国産牛ステーキ丼専門店の「佰食屋」を経営をされている中村さんの初の著書です。これ、著者の方が、ものすごくテレビに取り上げられています。
Oさん もうすでに。
高野 そうですね。
Oさん すみません。勉強不足で。
高野 いや、僕も、その、全然、大丈夫です。関西だと「せやねん」とか「ちちんぷいぷい」、全国だと「スッキリ」とか「セブンルール」に出てるんですけど、これ、なんでテレビで取り上げられているのかっていうと、ここの会社が働き方改革の一つの答えみたいなのを提示していて。
ステーキ丼の店なんですけど、1日100食限定で、普通、何食でも売れると思うんですけど、100食限定でランチのみ、14時半までに絶対営業を終了する。その代わり、社員の方も早く帰れて黒字も出せるっていうところが、すごくおもしろいとなって、取り上げられています。なんで、100食限定で利益が出るかっていうと…。

渡辺 こんなに長くやるんですか。

Oさん 飲食って基本的に残業当たり前にされていたんですよね。
高野 そうです。飲食でサービス残業が多いっていうのを改革したいと思って100食限定にすることで。で、実は飲食店ってロスがいちばん経費を圧迫しているんですけど、そのロスもないっていうのと、冷凍庫がない。そうですね。冷凍庫とかの設備費用が要らないっていうので、100食、実は売上を絞ることで、めっちゃ売上が上がるわけじゃないけど、利益を確実に確保できる、新しい穏やかな成功みたいなっていう形を提示している方です。
ちょっと京都の方なので、関西の出版社としては、ぜひ、売ってもらいたいなと思っていて、『ガイアの夜明け』っていう番組に6月25日に放送が決まっていて、もしかしたら書影が映るかもしれないので、かなり跳ねるんじゃないのかなと思っています。
Oさん なるほど。発売が6月の12日で、放送が6月の25。
高野 そうですね。よろしかったら、ビジネス書ご担当の方にはすでに50冊了承をいただいておりまして、あとその話題書のレジ前、テレビに出るので、もしよろしかったら、いちばん人が集まるところに置きたいなと思っていて、レジ前で、プラス50冊ぐらいで展開できたらなと思っています。
Oさん はい。
高野 本当にいつも売ってくださっているので、今回の本も、ぜひ、お願いできたらと思っております。
Oさん はい。
高野 どうぞ、よろしくお願いいたします。
Oさん ありがとうございます。発売までにちょっと調べることにします。また何かあったら教えてください。
高野 50冊をどこかに。
Oさん そうですね。戸棚に1面で10冊、新刊台に1面で10冊にするんだったら、もうこの時点で70冊必要で、テレビに紹介されたら4面分は確保したいからあと40冊必要なので、明らかに足りないので、ちょっと上司と相談してご連絡します。
高野 ありがとうございます。ぜひ、よろしくお願いします。
Oさん ありがとうございます。

渡辺 めちゃめちゃリアルでしたね。

高野 ありがとうございます。

今のポイントとしては、新刊はまだ結果が出てないので、内容をいちばんに、プラス、パブ情報を案内します。重版だったらもっとデータ重視です。ただ、途中でだいたいちょっと自分では何を言っているのかわからなくなります。

渡辺 わかる。わかるそれ。

高野 けっこう相手の方の想像力に頼った営業なので、こんな感じで、みなさんに本への想いを汲み取ってもらってなんとかやっています。

渡辺 ちなみにこの本は僕も自分で買って読ませていただきました。すごくよかったです。京都にある飲食店の方の本ってことで、京都の書店さんの反応はどうでしたか?

高野 丸善の京都本店さんだと50冊ぐらいでかなり多い注文数なんですけど、100冊ぐらいやろうみたいな感じだったので、注目度は高かったです。

渡辺 僕も丸善京都本店さんで買いました。

高野 ありがとうございます。

渡辺 買ったんですけど、そのあと、紀伊國屋さんで買えばよかったかもと思って反省して。

高野 いや、いきなり何。あれですね、Oさん、いつも僕はこんな感じですかね?

Oさん もう少し、説明は少ない気がします。

渡辺 わかるわかる。

高野 …たしかにもうこの本のことをわかってもらって、圧倒的にいい本なので、あわよくば最後、(手売り合戦で)今日来てくれたみなさんに買ってほしいなっていう気持ちが、説明臭さを助長したと思います。

Oさん でも、今までのライツ社さんとの関係性があるから、最近、あんまりそんなに言われなくても信頼できるしなって思って、たぶん、すぐに数をつける。

高野 わたしはこんな感じでしたが、ちょっと渡辺さん、ぜひ、お願いします。

渡辺 はい。僕、やりたくない、やりたくないって、それって、むしろ、ハードルを上げていたんだっていうことに今、気づいて。

Oさん そうですね。

渡辺 先攻でやればよかった。

高野 本は何でいくんですか。

渡辺 特に。全部おすすめなので1冊っていうのは決められないんですよね。

高野 そういう営業いちばん信用しちゃいけない。

渡辺 いや、だから、これから出る本の営業が目的なんだけど既刊のフォローもするみたいな。

高野 もう。お願いします。論より証拠。

渡辺 はい。誰に対してやったらいいですか。

高野 いや、それはご指名いただいて。

渡辺 Kさん、いいですか。

Kさん はい。

高野 Kさん、紀伊國屋梅田本店で、以前は話題書を担当されていたので、その全ジャンルっていうことですね。

Kさん いつもどおりな感じでいいですか。

渡辺 もちろん。

Kさん はい。わかりました。

渡辺 作業中すみません。
Kさん どうも。
渡辺 どうも、ミシマ社の渡辺です。
Kさん ありがとうございます。
渡辺 今、お忙しいですか。
Kさん いえ、大丈夫です。
渡辺 手短にちょっと。いろいろあるんですけど、いつもつくっている営業ニュースレターです。すみません。うち、いろいろ書評やら何やらって、毎回FAXで送っていたら、いいかげん多過ぎやろって、ちょっと。
Kさん いや。
渡辺 週に1回、こういう形で出すことにしたんですけども。まず『しあわせしりとり』が4月に出て、発刊して2か月経って、普通だったらもうこれで売り切って、ちょっとまた違う本かな、みたいな感じになってるけど、今だからできることっていうか、買った人も喜んでくれるような。
売れた、売れないじゃなくて、買った人も、このお店でこういうことやってて、わたし、うれしい。そういうのも、やっぱり大事かな思って、この「しあわせしりとり通信」っていうやつがフリーペーパーなんですけども、それをちょっと置いていただいて、あとは「しあわせしりとりボックス」っていうのを棚に置いて、そこにブロックメモを置いて、それで絵しりとりみたいのを、ペンも置いてあって、そこでお客さん、来た人が絵を描いて、しりとりをつなげていくみたいな。
Kさん お客さん同士がやるみたいな。
渡辺 これ、実はちょっと東京なんですけど、池袋の三省堂書店さんで1個400枚くらいのブロックメモを置いたらしいんですけどそれが2ブロック、全部しりとりで埋まり。
Kさん お店に置いて。
渡辺 置いて。それで、お店に立ち寄った益田ミリさん(著者)も絵を描いた。
Kさん ご本人も描いた。
渡辺 そういうのとかやったら、買った人もうれしい。
Kさん たしかに。
渡辺 これは、ちょっと今、すごくいいんじゃないかなと思っていて。今は、もうすごい、いい感じで置いていただいていますけど、もしよかったらこれもやって、またさらにっていう感じで。
Kさん そうですね。おもしろい試みなんで、ぜひやりたいなと思います。
渡辺 ありがとうございます。また、ちょっとお送りさせていただきます。よろしくお願いします。あと下にある『数学の贈り物』、森田真生さん、これも最近、読者のおたよりが来て、国語科の先生でうちの中学の生徒たちに勧めました、みたいな。森田さん、数学ですけども、やっぱりこのエッセーは、いい日本語と向き合っている国語の先生にも、そうやって支持されているっていうのはありかなと思って、理工書を中心に置くのもそうですけど、文芸のエッセーのほうに置いてもおもしろいんじゃないかなと思って。
Kさん なるほど。
渡辺 あと森田さんの、新潮文庫に入りましたけども、『数学する身体』とか、ああいうのとかも文庫コーナーは文庫コーナーで、これは、単行本は単行本みたいに場所離れちゃうので、ちょっと森田真生ミニコーナーみたいな感じで。
Kさん ああ。
渡辺 ちょっとまとめて。そうすると、むしろ文庫のほうも売れたりとか、普段、文庫コーナー行かない人でも手に取る機会があったりとか、逆に文庫買った人も、こんな単行本出てたりとかって、そういう展開もありかな。
Kさん そうですね。今は単行本のところだけで置かしていただいているので、いろんなジャンルで、ばらけて置かせていただけたらなというのは。
渡辺 そうですね。結構、賞獲るとか、めちゃめちゃ出ているので。
Kさん そうですね。
渡辺 店頭で見たら買いたいなっていう人、でも、自分から探して買うまでにはいってない人、潜在的にかなりいると思うので、そういう形で置くと。けっこう、しゃべっていますね。すみません。
Kさん いえ。
渡辺 すみません。ちょっとニュースも1個あって、すごいの。これは、すごい論語安田登さんなんですけど、今度NHKのラジオ第1「著者からの手紙」に著者出るので、よかったらこれも聞いていただいて、通勤途中かなんかに。わかんないですが。何時に起きてるかとか。
Kさん 確認しときます。
渡辺 あとこれが一応新刊なんですけど。
Kさん まだある。

高野 本当にこれ全部営業するんですか。

渡辺 これ、『脱・筋トレ思考』っていう、今度、8月下旬に予定しているんですけど、お盆明けぐらいに出るんですけども、元ラグビー日本代表の平尾剛さん、これ、『近くて遠いこの身体』っていう既刊本がありますけれども、この平尾さんの新刊『脱・筋トレ思考』っていうの出すんです。今年はラグビーのワールドカップもやりますし、平尾さんも秋ぐらいから露出が増えてくるんですよ。『脱・筋トレ思考』って、結構、最近、ビジネス書的な文面でも筋トレとビジネスみたいな、仕事みたいなのあるんですけども、けっこうおもしろいかなと思って。
Kさん なるほど。ちょっと、これは調べておきます。
渡辺 そうですね。ちょっと1個だけ、アスリート系書店員の人とかを探しているんですよ。書店員さんって、あんまり筋トレ、脱も何も筋トレとか、あんまりしたことない。だけど、実はわたし、バリバリ、アスリート系ですみたいな人がいたら、ジャンル関係なく、ゲラとかお送りして、それ、読んでいただいて、アスリート系書店員の感想を寄せたフリーペーパーみたいなのつくりたいんですよ。
Kさん なるほど。
渡辺 だけど、Kさんは、アスリート系?
Kさん いや、僕、ぽっちゃり系です。
渡辺 いや。
Kさん うちの、ジム行っている子とかいるので。
渡辺 そうですか。
Kさん そいつも、ちょっとまた、むしろ、これ、言うて話ししときます。
渡辺 よかったら、ちょっと紹介していただいて。かなり僕も読んだんですよ。おもしろいので。
Kさん なるほど。わかりました。
渡辺 これ、締め切り、まだ先なので、ちょっと一旦、そんな感じで。ゲラも、またお送りますので。
Kさん ありがとうございます。
渡辺 待ちます。
Kさん よろしくお願いします。
渡辺 ありがとうございます。

渡辺 みたいな。

高野 めっちゃおもしろかった。全然違いますね。

渡辺 そうですね。

高野 今のポイントってなんですか。

渡辺 お店に行ったらすぐKさんを見つけて、おお! お声かけできる! みたいな。

高野 それ、ポイント?

渡辺 アポがあっても、相手の状況によっては、すぐお声かけができない場合もあるので。書店は、客商売ですから。

高野 僕、けっこうアポ取ります。

渡辺 新刊の予約注文をいただく必要があったり、地方に出張行ったときとか、アポ取りやシフト確認を必ずやります。もうせっかく遠くまで行ったのに、アポなしで行って会えなかったとかって、何やってんのみたいな感じですから。

高野 こういう感じで実演が終わったんですが、イベント名に「VS」がついているので、最後は手売りをさせてもらって、どちらの本が売れたかで勝敗を決めようと思います。

渡辺 まだ出てないのに『脱・筋トレ思考』の話、長過ぎたですかね。

高野 いや、それは、もう。

渡辺 それは反省して。もっと今日持ってきた本をやればよかった。

高野 そうですね。

最後になるんですけど、出版営業で大事なところ、出版営業って、こうしていけばいいんだよとか、おもしろそうとか、何でもいいんですけれども、一言で。

渡辺 相手に思いを寄せていくっていうのが大事だなと思っていて。相手っていうのは、この仕事を通じて関わる方たちのことです。書店員さんだったり、お店そのものだったりとか、本を買ってくださる読者、作り手である著者やデザイナーさん、物流にかかわる方々も、そうです。

あとは、特に小さい出版社、ライツ社さんもそうだと思うんですけども、書き手の方とも距離感が近いです。近いじゃないですか。

高野 はい。

渡辺 これは、もしかしたら、よその出版社の営業ではできないかもしれないので。

高野 そうですね。僕は営業ですけど、全員と会いますね著者には。

渡辺 そういうときに、書き手の思いとか、編集者の思いとか、あるいは、デザイナーさん、装丁家とか、校正している人、印刷所の人。小さい会社なので、関わる人、全員の気持ちを感じられるんですよ。肌感覚として。

そういったものを自分の力に変えて、そして、また、本にそれを恩返ししていく感覚です。やっぱり本って、せっかく世に生まれ落ちたのに読んでくれる人がいなかったらダメだと思うんですよ。

この会場である「まちライブラリー」もすごいですよ。僕が感激したのは、ここにある本っていうのは、絶対、誰かが買った本なんですよね。買った本を寄贈している。そこにライツ社の本もミシマ社の本もありますけど。

この『THE BOOKS』っていう本も蔵書されてて、今日も販売で持ってきたんですけども。これ、365人の書店員さんに、「心からおすすめしたい本を教えてください」って言って作った本で、1ページ1ページ、書店員さんの直筆も入っているんです。これ、僕、365人のうち181人とやりとりしました。入社以来、営業だけやっていたんですけど、本をつくる中身に関わったの、これが初めてだったんです。2012年のときなんですけど。これやってから感覚、変わりましたね。本の見え方が。

関わる人の思いがギュって詰まったのが本っていう媒体で、そこに営業として関わるっていう、このかけがえのなさ。僕がアクションを起こさなかったらこの本は世の中に知られないまま終わるかもしれないっていうこと、それが営業のプレッシャーとか、責任の重さにもなるんですけど、この仕事の夢や希望でもあるのかなって。

やればやるほど、営業の仕事をやればやるほど、今日お越しくださったみなさんも含めて、こうやって、また、新たなつながりができるんですよね。それがおもしろい。なんでしたっけ。

高野 渡辺さん、全然、一言じゃないですよ。

渡辺 これは、でも、言いたかったんです。今日。だから、出版営業、おもしろいですよ。すごく。

高野 いい感じで、ありがとうございます。

本屋さんに直接行くにせよ、本部とか、普通に入れないところにせよ、問屋さんにせよ、すごく毎日、何かしら本屋さんに行けるんで、出版営業って、本屋さんが好きな人にとっては、すごい楽しい職業なのかなっていうのは思っているんです。けどけっこう、実は単調だ、みたいな意見もあるじゃないですか。

渡辺 マンネリ、じゃないですけど。

高野 でも全然、そんなことなくて、すごく想像力のいる仕事なのかな、というふうには自分でも思っています。

今度、みなさんが書店に行ったときに、ミシマ社の本が並んでいたら、たぶん、渡辺さんが、何かしたのかな、とか、その熱意が書店さんに伝わったのかなっていうふうに本屋さんを見ていただければ、楽しいのかなと思いました。

渡辺 そうですね。お店に並んでいる本の見え方が、ちょっと変わってくれたら、よかったかなと。

高野 ということで、ミシマ社のミとライツ社の。

渡辺 ライ。

高野 ミライに向かって頑張ります。

もう1個、いいですか。ミシマ社のシマと。(ここに書いてあります)

渡辺 ミシマ社のシマと。

高野 ライツ社のツ。始末がよろしいようで、今日は、ありがとうございました。

次回が最終回。最後に、イベントの質問タイムの模様をお届けします。

「本屋さんから企画を逆提案されることってある?」「営業2.0?」「売れなかった理由ってわかるの?」「本のおもしろさってどうやって伝える?」「具体的なセールスプロモーション教えて」

などなど。お楽しみに。

次回、「ミシマ社とライツ社の営業が何でも答えます。会場からの質疑応答」へ続く|8月7日(水)18時公開




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