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「世界のお菓子(食)を巡る旅」_連載開始のごあいさつ

旅するパティシエ・菅野つばさと申します。

「この街にはいい香りが漂っている」
…ような気がする。

そんなことを思わせるのが、フランス・パリ。
わたしが旅を始めるきっかけになったのは、ここだった。

街にはあちこちにパティスリー(ケーキ屋さん)があり、外に出かけたら前を通らないのは難しいくらいだ。フランスではケーキだけ売っているところは少ない。パンもつくって並べているのが通常の光景である。お菓子の並んだショーケースはキラキラしていて、まるでスポットライトを浴びたステージのようだ。そして、それを眺める人々の目も少女のように輝いている。老若男女、関係なく。

毎回、「あれ?こんなに買うはずじゃなかったのに」と思うほど、フランス人形のように可愛い店員さんのおすすめについのってしまうのがわたしのパターン。やってしまった、と思いながらも「元パティシエ」という武器を使って、「これも勉強!」と片付けてしまうのだけれど。

上手に食べるのが難しいほど折り重なった生地でつくられたミルフィーユ。一口食べれば、バニラの香りが華やかなクリームは絶妙の甘さだった。口に運ぶ前から、いや、袋を開けた瞬間から発酵バターの香りが漂うクロワッサン。書いている今も思い出す。あの香りをおなかいっぱいに吸いこんだときの、あの幸せな瞬間を。そして改めて気づく。あぁ、わたしはやっぱりお菓子(食)が好きなのだと。

つまりは、食いしん坊ってこと

小さい頃から、食べることが大好きだった。家族全員食べることが大好きで、料理をするのも好き。だから家族で集まるときはたまに1人1品制がとられることもあった(家族6人それぞれ1品は料理をつくる制度)。前日に父からそれぞれ必要な買い物があるかどうか確認のメールが家族に回ってくることもある。

つまりは、食いしん坊な我が家なのだ。

高校生になり、バイトをするようになってからは食器や鍋を自分で買うこともあった。働きはじめた頃には、給料に見合わない有名店へ足を運んだりして食への関心が人一倍強かった。

この連載は、そんな菅野家の末っ子が、片道切符を手に世界へ旅に出たお話だ。

旅の予算は1年間で200万円弱。バックパッカーの平均の予算と言える値段。
つまるところ、決して豪華な旅ではない。でも、旅をしている間も「食」の優先順位は高かった。1時間以上かかるところでも交通機関は使わず、歩いて行ってその分のお金を美味しいものに使おう。宿のランクを下げて、その分ちょっといいレストランに入ろう。そんな自分とのやりとりを何度もした。

ねぇ、思いませんか? 

世界の絶景や素晴らしい建物は今の進化した技術で映像でも味わえる(もちろん自分の目で見るに越したことはない)けれど、「食」は、そこに行かないと味わえないって。「食」は味だけじゃなくて、その雰囲気まるごと味わうもの。その空間や人、流れる音楽ですら、ときには料理をさらに美味しくするスパイスになる。

日本食は世界一美味しいとよく聞くけれど、世界にはどんな料理があるか知ってる? まだ行ったことのない国の料理をわたしは全然知らなかった。

というわけで、わたしの食べることへの好奇心が産んだ副産物?的なこの連載、のびのび書いていきますので、(お腹を空かせながら)どうぞお楽しみくださいませ。

メープルシロップがとっても美味しいカナダより
菅野つばさ



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2016年創業。海とタコと本のまち「兵庫県明石市」の出版社です。writes.right.light「書く力で、まっすぐに、照らす」を合言葉に、ジャンルにとらわれず本をつくっています。 https://linktr.ee/writes_p

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ライツ社の周りにいる、普段は作家でもなんでもない(でもとてもおもしろいことをしている)みなさんの記事を連載。 2018年12月現在の連載タイトル ・「世界のお菓子(食)を巡る旅」菅野つばさ ・「平屋私庭日記」大阪の若手庭師 中山智憲
3つ のマガジンに含まれています
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