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剪定の基本は、芽を見つける目|平屋私庭日記#8

この平屋私庭日記#8の公開日はクリスマス!あちこちでサンタさんたちがヒト仕事する大役の日。僕はトラックでグリーンスペース高橋くんがセレクトしたクリスマスソングを聴きながらあちこちの庭へお手入れに廻ってます。

そんな毎年恒例の休み無しのバタバタ年末追い込み中だけれど、少しでもクリスマスを味わおうと今年はリースを作ってみた。

ローズマリーを骨組みにティーツリーやオリーブ、メキシカンブッシュセージの花を。夜な夜な作って朝に見返すと丸くない、まぁ男っぽくていいことに!

芽を見つける

さて、今回は剪定の基本の基、芽を見つけることを書きたいなって思います。

庭師がやる庭のお手入れは建物の外回りや周辺全体を整えていくことが主な作業です。
植物の枝葉を剪定したり、落ち葉などの掃き掃除はもちろん、植栽部分の足もとの起伏が気になれば地面を整えたり、溝掃除やタイル・石畳・土間を高圧洗浄したりとその空間が美しく整うことならなんだってやります

庭やに12月の休日はないので出勤前の早朝にお手入れを。手ぼうき(竹ぼうき)で手箕(テミ)に落ち葉を集めていく。どちらも庭仕事道具としてよく使われてて、庭の落ち葉掃除にはどちらもオススメですよ!

そんな手入れの基本の基はまず植物たちの芽が見えているかどうかだと思う。僕がこの仕事を始めたころ、植物たちの枝や幹にこれから生えてくる枝葉や花の芽があって、職人たちはそれが見えてるなんて驚きだったなぁ。

サクランボの木。遠目の木全体のシルエットでは芽は分かりにくいけれど

近くで見ると葉っぱの付け根には来春用の芽が待機している。これが花芽だったり葉や枝になっていく可能性を秘めた芽なんです。

ちなみに桜の芽は分かりやすい。

これはレモンの枝。白色矢印の場所に枝葉が出てくる可能性のある芽が潜んでいる。

枝葉が出るであろう芽の場所を知っているかどうか、まずはここから、職人としてのお手入れで庭全体や植物たちを見ることが始まります。

多分業界の人でなければ見えないのではないかな?だいたいの植物にはこの可能性を秘めた芽の場所がある。植物や木々それぞれの芽があるポイントをまずは熟知してからお手入れというのは始まるのかもしれない。

アジサイ・アナベルの剪定

梅雨の時期に真っ白な花を咲かせ、秋にはドライフラワーになる庭に欠かせない植物。剪定の基本としてアナベルが分かりやすいと思うのでご紹介。
※アナベルはエディブルじゃないけれどあまりに好きだから植えている。

アナベルなどのアジサイは放っておくとどんどん背が高くなる(2mくらいに)。でも剪定をして高さを自分の好みにもできるので使いやすい。

アナベルは茎に一定の距離感で節があって、そこに芽がある。(白色矢印のところ)

背を高くしたいときは高めのことろで切ればいいし、低く抑えたければ地面に近いところで切ればいい。開花の時にどの位置で咲いて欲しいかで切るところは決めればいいと思う。その場にあった高さがあるからお好みですね

その残したい芽の少し上部分にハサミを入れる。ギリギリで切ると芽も切ってしまうかもなので0.5センチから1センチがオススメ

白色ラインの位置で切ると来季はそこの芽から別れて出てくる。

イメージはこんな感じ!

芽がどの方向に伸びていくのかを知っておくこと。
そして、どれもこれも可能性であって確実とは言えないのが庭や植物の難しいところ。切ればその枝が枯れる可能性もあるし、出てくると思ってた芽が伸びない可能性もある。予想外のところから芽が出ることもある。
そんな可能性という曖昧なものを取り扱う仕事だからこそ、経験値が物を言う世界でもある。

木を見て森を見ず

5年経ってやっとわかってきたこともあれば、5年経ってわからないことが分かってきたこともたくさんある。難しいことを言うけれど、芽を見ながら庭全体が見えていないと切ることができないと僕は思ってる。

好きな漫画「バガボンド」の沢庵坊が宮本武蔵を悟すシーンの言葉から

「見まいとすれば心はますますとわられる心が何かにとらわれれば、剣は出ない一枚の葉にとらわれては、木は見えん一本の枝にとらわれては、森は見えんどこにも心を留めず、見るともなく全体を見るそれがどうやら、”見る”ということだ」byバガボンド

たまーに自分に言い聞かせる庭にも通じる名言!

庭全体を見ておくことを根本に捉えて、今回書いてきた芽の部分を見ておかないとハサミは出せないと思ってる。

どこに芽があって切るとどのように伸びて、何年くらいでどれだけ茂ったり背が高くなるのか。芽が見えるようになってお手入れがわかってくると、庭の未来が想像できるようになってくる。そこが庭のお手入れの楽しいところ。

最後に

手を入れてあげることで庭はやっぱり良くなると思う。
少しだけハサミや手を入れていくと、自然と仕立てのバランスが整っていくように感じる。
人為的が優っていても硬く感じたり心地よく感じられないのだろうし
ただただ自然任せに植物をモリモリやワサワサさせればいいってわけではないのではないか。
自然優勢でも人為優勢でもなく、その波打ち際が僕たちにとって丁度いいみたいだ。

今度、そのことについて掘り下げて書いてみよう。

定点写真#8。この庭はまだまだ植えたてで馴染んでいないし、気になる枝がたくさんあるけれど、切るかどうか悩むなぁ。

GREEN SPACE 若手庭師 中山 智憲

GREEN SPACE HP
Instagram@greenspace_nakayama

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ライツ社

2016年創業。海とタコと本のまち「兵庫県明石市」の出版社です。writes.right.light「書く力で、まっすぐに、照らす」を合言葉に、ジャンルにとらわれず本をつくっています。 https://linktr.ee/writes_p

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ライツ社の周りにいる、普段は作家でもなんでもない(でもとてもおもしろいことをしている)みなさんの記事を連載。 2018年12月現在の連載タイトル ・「世界のお菓子(食)を巡る旅」菅野つばさ ・「平屋私庭日記」大阪の若手庭師 中山智憲
2つ のマガジンに含まれています
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