読むだけで、12月の毎日が心豊かになる広告コピー 「忘れられる人だけが、前に進める説。」
人生で本当に大切なことは、ぜんぶ、広告コピーに書いてあった。12月16日、明日発売の『毎日読みたい365日の広告コピー』から、12月の毎日にぴったりの言葉をご紹介します。
「贈りものに悩んだ時ほどあの人のことを考えたことなかったなあ。」
【中川政七商店】 ポスター 2011年
コピーライター:石橋涼子( 電通)
「お歳暮」とは、日頃お世話になっている人に感謝の気持ちを込めて、年末に贈り物を贈ること。12 月 の初旬〜20日頃までに贈るのが一般的のようです。ちなみに、昔は贈り物を贈るのではなく、持ってあいさつに行っていました。
「実家のカレンダーは、わたしが帰る日に大きな赤まるが付いています。」
【東京スマートドライバー】 ポスター 2014 年
コピーライター:林潤一郎( オレンジ・アンド・パートナーズ)
実家に帰るのはすこし億劫なことかもしれませんが、親にとっては一大イベント。ただ自分が来るだけで、 そこにいるだけで喜んでくれる。そう思うと、億劫だなんて言っていられませんね。ちなみに12月3日は「カレンダーの日」。明治5 年のこの日から、日本では現在の太陽暦が使われるようになりました。
忘れられる人だけが、前に進める説。
最近の忘年会はただの年末の飲み会になってしまってい る気もするが、その起源をご存知だろうか。そもそもは室町 時代頃の「としわすれ」という行事がそれにあたると言われ ている。ずいぶん古くからあるものだ。似たような行事は欧 米には見当たらない。忘年会という単語もない。これは日 本独自の古くからある習慣のようだ。
その年の憂さを晴らそうじゃないか。そしてまた来年がん ばろうじゃないか。そういう仕切りをするための機会として 実に優れたものだと思う。そういう気持ちの切り替えをきち んとして前に進もうとする、なんだかすごく日本人的で、日 本人がずっと前をむいてこられた理由を少しそこに感じた りもする。年齢も上下関係も一度「忘れて」、一年の憂さを 「忘れて」、仲間としての結束を今一度確認する。そう考える とこの忘年会、という会のネーミングの絶妙さも感じてしま う。忘れることはとても大切だ。ささいな気持ちのいらだち や、トラブルや、ついてしまった嘘や、とりかえせない失敗や、 終わった恋や、その他いろんなものを私たちは、忘れること ができる。忘れるから前に進める。そう、これは私たちの先 輩たちが編み出した前に進むために必要な儀式なのだ。忘 れるって、とても大切なこと。最近の忘年会は「忘れる」こ とを忘れてしまっていないだろうか。
【ぐるなび】 新聞 コピーライター:髙崎卓馬( 電通)
忘年会の起源とも考えられている「としわすれ」。もっとも古い記述は、室町時代の皇族が記した「看聞 日記( かんもんにっき)」に出てくるものだと言われています。年の終わりに羽目を外したくなるのは、数 百年前も同じだったようです。
この時代に、住所を教えあう。そこが年賀状のいいところです。
【梅園会】 ポスター 2015 年
コピーライター:米田恵子
ペン習字の会員募集のコピーです。12 月15日頃から年賀はがきの扱いが開始され、25日頃までに投 函すると翌年の1月1日に配達されます。子どもの頃に、友だちの家の住所や電話番号を覚えていた人 もいるのでは?
冬の女の子は、感動屋さん。
冬の朝、生きてることに感動したい。日常を、旅人みたいに感動したい。コーンスープのつぶつぶに、感動したい。子ネコの肉球に、感動したい。
君とさがす、冬の星座に感動したい。人はそれを、感動屋さんという。寒いから、感動を拾いにいこう。感動は、見つけられるのを待っている。
12 月の街角の、謙虚でかわいいライトアップのうさぎとくまに、感動したい。ことしもカレンダーの最後の最後の日まで感動したい。いろんなことに。
【earth music&ecology / ストライプインターナショナル】
カタログ・ポスター( 一部使用) 2014 年 コピーライター:児島令子
12 月22日頃は「冬至」。冬の冷えた空気は、オリオン座や冬の大三角形など、夜空の星を美しく輝か せます。1年でもっとも夜の時間が長いのがこの日。晴れた夜は厚着をして、星空を見にちょっと外に出てみてはいかがでしょうか。
Xmasになるまでが、いちばんXmasかもしれない。
【ららぽーと / 三井不動産商業マネジメント】 ポスター 2010 年
コピーライター:山口広輝( ジェイアール東日本企画)
クリスマスツリーと言えばもみの木。十字架のように枝が広がるため「聖なる木」と考えられ、冬でも葉を落とさないことが「永遠の命」の象徴だったとか。この時期、街を彩る華やかなツリーは、いつもより浮かれる人々の心をいっそう明るく照らします。
今年やり残したことは、たいてい、来年もやり残すから。
【ベルリッツ・ジャパン】 ポスター 2012年
コピーライター:北田有一(電通) 小川祐人(同)
1年間書いた日記を書き終えることを「古日記( ふるにっき)」と言います( 冬の季語です)。今年を振り返り、新年に向け、新しい手帳や日記に目標をしたためてみてはどうでしょう。目指すべきゴールをつくることから、進むべき道が見つかります。
年の瀬に渋滞を見ると、この国にはふるさとを大切にしている人がたくさんいるんだなと思う。
【東京スマートドライバー】 ポスター 2014 年
コピーライター:林潤一郎( オレンジ・アンド・パートナーズ)
帰省ラッシュの時期です。「帰省」には、「郷里に帰る」だけでなく「親の安否をたずねる」という意味もあります。帰って早々ケンカをしたり……「郷里に帰る」だけの帰省にならないように気をつけたいものです。
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広告コピーとは、ある商品や企業の魅力を伝えるために考えられたものです。
しかしその中には、ただ消費を促すための言葉ではなく、わたしたちの人生に気づきや希望を与えてくれる言葉がたくさんありました。
ただ、素敵な言葉であるにもかかわらず、そのほとんどはある一定期間にしか掲載されません。しかも、見ることができるのは、広告が掲載された場所だけ。
そんな広告コピーの数々を一冊の本にして、いつでもどこでも、暮らしに身近な名言集として毎日読んでもらうことができたなら。忙しい日々の中に、大切なことを思い出せる時間がすこしでも増えるかもしれない。そんなことを思って、この本をつくらせていただきました。
今日の日付でも、誕生日でも、たまたま開いた日でも、お好きなページからお楽しみください。