見出し画像

広告業界「以外」の人に読んでほしい、広告コピーの本があります。

12月16日、『毎日読みたい365日の広告コピー』が発売されました。発売を記念して、この本の制作を担当してくださった森山晋平さんより「なぜこの本をつくったのか」お話いただきました。

死ぬのが恐いから飼わないなんて、言わないでほしい。

おうちを汚すから飼わないというなら、犬はお行儀を身につけることができる。留守がちだから飼わないというなら、犬はけなげにも、孤独と向きあおうと努力するかもしれない。貧乏だから飼わないというなら、犬はきっといっしょに貧乏を楽しんでくれる。だけど・・・死ぬのが恐いからって言われたら、犬はもうお手上げだ。すべての犬は、永遠じゃない。いつかはいなくなる。でもそれまでは、すごく生きている。すごく生きているよ。たぶん今日も、日本中の犬たちはすごく生きていて、飼い主たちは、大変であつくるしくって、幸せな時間を共有してるはず。飼いたいけど飼わないという人がいたら、伝えて欲しい。犬たちは、あなたを悲しませるためにやっては来ない。あなたを微笑ませるためだけにやって来るのだと。どこかの神様から、ムクムクしたあったかい命を預かってみるのは、人に与えられた、素朴であって高尚な楽しみでありますよと。

いまから10年以上前のこと。食品会社の新入社員だったぼくは、このコピーに心をグワングワン動かされて号泣し、「自分も言葉で人の心を動かす仕事がしたい」と思うようになりました(金魚とカメしか飼ったことがなかったのに)。

そして社会人2年目(23歳)の春、広告制作会社に転職。晴れてコピーライターとなったのです。

しかし、すぐ一人前のコピーライターになれるはずがありません。いいコピーなどまったく書けず、かけるのはまわりへの迷惑ばかり。。。いわゆる「(コピーが)好きだけど、うまくないヤツ」だったのです。

「映画観たり流行りの店に行って、もっと世の中を知れ!」

上司からそう言われても「忙しい」を言いわけにデスクから離れず、「ダメガンコ」と呼ばれたり(いまもダメガンコですが)。

「お前はまだ血を流していない。表現者は、自分の出したくない一面を出して表現しなきゃいけないんだ。それは血を流すほどつらいことだ。でもお前は流してないだろう。そもそも流す気がないだろう」

ある部長からの評価シートに、↑こんなことが書かれてたり。これって、いま思うと事実上の「戦力外通告」ですよね。ちなみに当時のぼくはこの評価シートを読み、「コピーライターだからって、なにも血まで流さなくていいだろ!」ってプリプリしてました。あぁ、思い出すだけで部長に土下座したくなる。

そんなこんなで、ダメガンコプリプリコピーライターとしてみんなの足を引っ張りつづけて約3年。再び転機となる広告コピーに出会います。

「人生が、ラブストーリーでありますように。」

私は、「その人」との約束を破った。生まれて初めて愛した異性。生まれて初めてバレンタインデーに、チョコレートを贈った相手。完璧な人生の先輩。愛妻の存在は知っていたけど、私は本気だった。なのに、だんだん欠点が見え始めた。大切な時に、仕事。束縛。年下の私をいつまでも子供あつかいすることにも我慢できなくなった。会話が途切れた。長い年月・・・。そして大学を出た私には、他に好きな人が。どこか「その人」に似ていた。結婚を決意。「その人」は黙っているだけだった。式は、2月14日。新しい恋人に私が愛を告白した日。その朝、「その人」と二人きりで会い、お別れのチョコレートを贈った。「約束を破ってごめんね」という言葉に、「その人」と私は数年ぶりの笑顔をかわした。バージンロードへ向かう私は、守れなかった「約束」を心の中で繰り返していた。「大きくなったらパパのお嫁さんになるの」

読み終わった瞬間、鳥肌が立つような感動と同時に、あきらめの感情が生まれました。

「これは・・・自分にはゼッタイ書けない」と。

それと同時に、また別の思いがフツフツと沸いてきたのです。

「いいコピーは書けない。でも、いいコピーを広めたい」「コピーを名言や物語のように読んで、心が震える体験を味わってほしい」

そんな思いを形にしたのが『毎日読みたい365日の広告コピー』です。

・・・いまあらためて思うと、ぼくはコピーライター時代から、コピーを書く時間より、好きなコピーを見つけて1人でウルウル感動してる時間の方が長かった気がします。つまり、ずっと素人目線だったんですね(「自分には書けない」と気づいた分だけ、少しは成長していたかもしれないですが)。

広告業界の方だけに向けてつくった本ではありません。むしろ「広告なんて興味がない」という方に、ぜひ読んでいただきたいと思っています。

大切なことに気づいたり、心の支えになったり、(かつてのぼくのように)人生の転機となるコピーが、1つでも多く見つかれば幸いです。

『毎日読みたい365日の広告コピー』(WRITES PUBLISHING)
定価:1,850円+税  サイズ:四六版392ページ
全国書店、ネット書店にて発売中

森山晋平(ひらり舎)
「毎日読みたい365日の広告コピー」のコピーセレクト・文章担当。1981年生まれ。食品会社の営業、広告制作会社のコピーライターを経て、出版社に入社。 広告コピー本や風景写真集の企画・編集を多数手がけ、2015年3月からフリー(ひらり舎)。
twitter: https://twitter.com/shimmpei


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

出版業界を新しくしたい。もっと良くしたい。読者と、書店と、友達のような出版社でありたい。「本ができること」を増やしたい。いただいたサポートは、そのためにできることに活用させていただきます。

ライツ社は兵庫県明石市にある出版社です
5

ライツ社

2016年創業。海とタコと本のまち「兵庫県明石市」の出版社です。writes.right.light「書く力で、まっすぐに、照らす」を合言葉に、ジャンルにとらわれず本をつくっています。 https://linktr.ee/writes_p
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。