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オシャレすぎる市営の本屋 八戸ブックセンター

「明るい出版業界紙 on note(β)」、今回の記事は山田スイッチさんが書いてくださいました!

山田スイッチさんは「第二回cakesクリエイターコンテスト」で佳作を受賞されていた青森県を中心に活動するコラムニスト。そして、日本で右に出る者がいないほどの縄文バカ(本人談)。佳作作品もとても面白いので、ぜひ下のリンクからどうぞ。

今回の執筆の経緯

ライツ社 「明るい出版業界紙 on note(β)」を発表

山田スイッチさん 興味を持っていただき、「書き手が必要な時は、いつでもお声がけください。」とご連絡くださる

ライツ社 青森なら、「八戸ブックセンター」のレポートをお願いしたい!
(ライツ社が行くより地元の人のレポートの方がおもしろいはず)

山田スイッチさん ちょうど八戸市に出かける用事があるので、取材してきます!

それでは本編スタート

八戸市が「本のまち八戸」という公約を守って選挙から3年で作った市営のブックセンターがオシャレすぎる件なのですが。

「何故、ここまでオシャレに!?」

八戸といえば、イカの町なのに……!?

※種差海岸にある芝亭のイカ刺し。新鮮すぎて甘い。(*´Д`)

そう思っていたら、八戸ブックセンターは

下北沢にあるビールの飲める本屋さん『B&B(Books & Beer)』の内沼晋太郎氏がディレクターを務めているそうなのです! なんと!

『これからの本屋読本』(NHK出版)の作者である内沼晋太郎さんのB&Bでは、毎日イベントが開かれ、店内の什器は北欧家具のお店のものを使い、なおかつ販売もしているのです。本屋さんが家具屋さんも兼ねているのですって!

「本屋を一周することは、世界を一周することに似ている」

という言葉を放つ内沼晋太郎さんがディレクションした八戸ブックセンターは、青森県民の私の目には異世界感たっぷりの、不思議な世界でした。

本屋さんに入ってすぐにカフェがあり、なんと珈琲やビールを飲みながら店内の本を読むことができます! 青森ごぼう茶のメニューも濃い!!

ハンモックに揺られながらの読書も可能!

四方を本棚に人文・自然科学・芸術・外国文学の本棚に囲まれた部屋。なんと、本棚が隠し扉になっています。

ババーン!!

中では小さな読書会が開ける仕様で、読書会ルームは市民に貸し出されているのです。案内してくれたのは、八戸ブックセンターの佐藤正樹さん。

選挙公約として建てられた市営の本屋さんが、ここまで先進的になるなんて。

佐藤さん
「市長は、行為として本を選んで買う体験を、子どもたちにしてほしいと願っているんです。」

い、いい市長じゃないですか!

しかも、八戸市の小学生全員に「マイブッククーポン」という、市内の本屋さんで使えるクーポン券が2000円分配られているんです。

八戸市の小学生が約1万人おりますから、予算はなんと、年間2000万円ですよ!

「本気だ……ここの市長は本気だ……!」


 「市内の本屋さんと話し合いを重ねて、ここのブックセンターに置いてあるのは市内の本屋さんから消えつつある本。つまり、人文と自然科学、海外文学、芸術の本を置いてあります」と佐藤さん。

市内の書店とは競合しない内容。だけど、「こんな難しい本が売れるんだ」と不思議に思える本が売れていくのだそうです。店内の本は全て自由に読むことができて、なおかつ購入できます☆

 店の中のソファやハンモックに座って、カフェで買ったコーヒーやビールを飲みながら読書ができるなんて……ここは……天国?

ずっとハンモックに揺られながら本を読んでいたくなります。あふううう。

 併設のギャラリーでは『ブックデザイナーの仕様書展』(~7/21)が開かれていて。アート好きでも楽しめる世界観が拡がっていました。

「ブックデザイナーさんといえば、祖父江慎さんが好きなんですよ~」と言ったところ、優しげな微笑みを見せ、「こちらの佐藤亜沙美さんは、祖父江さんのお弟子さんなんですよ~」と教えてくれました。

なんと!!

そう!! そういう話がしたかったの!! 本屋さんで!!

狭い場所で本が読みたい人にぴったりの読書スペースもあり。


八戸市出身の芥川賞作家・三浦哲郎の部屋をイメージした部屋では、本人が使っていた文机と全く同じものを、作った家具屋さんに依頼してしつらえ、生前の愛用の品が飾られているのですが。なんと、ここでも座って本が読めます!

和風な気分で読みたい時にぴったり!!

 難しい本の中にも、ふとエミリー・ブロンテの小説『嵐が丘』や韓国語版の『ドラえもん』が見つかったりして、本の探検も楽しいです。

「本は人を育てる」という言葉を、私も信じているので。

この先、10年後、20年後の八戸市が楽しみだと思った山田スイッチでした!

山田スイッチさん、ありがとうございました!

出版業界を新しくしたい。もっと良くしたい。読者と、書店と、友達のような出版社でありたい。「本ができること」を増やしたい。いただいたサポートは、そのためにできることに活用させていただきます。