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ミャンマー人が言った。「ジンセイハムズカシイ」|世界のお菓子(食)を巡る旅#8

「ジンセイハムズカシイ」。

まさか、ミャンマーという地で、この日本語を二度も聞くとは思ってなかった。

一度目は、バガンという街に長距離バスで着いたあと、宿に行くまでのタクシーの中で聞いた。運転手の彼はほんの少しだけ日本語を知っていて、それはおそらくいくつか知っていた日本語の中の1つにすぎなかった。きっとこれはわたしを笑わせるために言った言葉であって、その言葉に大して意味はない。どこかで誰かに教わったのだろう。

二度目は、宿で予約した遺跡のツアーガイドをしてくれていた男性が、帰りにため息と共にこの言葉をつぶやいたとき。
電動バイクを借りて、観光客を彼が引率し、数々の遺跡や観光スポットを6時間かけて周るツアー。バイクを運転したことがなくビビっていたわたしだけ、特別に彼の後ろに乗ることが許された。
彼は宿の従業員ではなく、2つの宿のフリーツアーを受け持ち、参加者からのチップが主に収入源となっていた。そのため途中で何度か「もし楽しめたらチップをくれな!」と笑いながら言っていた。

しかし、30人ほどいた観光客のうち、フリーツアー中にもかかわらず結果的には10人ほどがグループを離れた。そして、彼らのほとんどがチップの存在すら忘れ、渡さずに去っていってしまった。それでも、彼は絶えずジョークを挟みながら遺跡の説明をしてくれていて、みんなも楽しんでいるようにわたしは思えた。

ツアーも終わりに差し掛かったころ、彼はもう一度言った。
「もし、楽しめたならチップをください」。

もちろんフリーツアーなので気持ち程度でいいのだけれど、ほとんどの人が本当に小額のお金を彼に渡して去っていった。中には日本円でたった「10円」の人もいた。
わたしは後ろに乗せてもらっていたのもあって、それなりの額を彼に渡した。帰り道、ツアー中は笑顔でいた彼の顔は曇っていた。「楽しかったよ、ありがとう!」というわたしの言葉に、彼は少しの笑顔とため息を交えて、こう言った。

「ジンセイハムズカシイ」

その言葉に、彼の背中に、わたしは少し心が痛んだ。

遺跡の間から覗く夕日と少し肌寒い空気が、よりいっそう彼の寂しさを感じさせた。いま、急成長を遂げているミャンマー。 観光はもっとも大きな財源の1つだ。現地の人が、がんばって、それによる対価をきちんと受けて、働く楽しさを感じ、いい方向へ発展していくことを願う。

そしていつか、彼らから「ジンセイハスバラシイ」という言葉を聞ける日が来ることを祈っている。

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ミャンマーでオススメしたい食べ物はこちら。

「シャンカオスエ」。ミャンマー東部のシャン州を中心に住むシャン族の代表的な料理である。日本でいうと油そばに近い食べ物だ。

米粉を使ったモチモチの麺で、汁ありと汁なしが選べるのも特徴。麺の上にはナッツやチキンやネギが乗っていて、これらをピリ辛の特製だれとよく混ぜながら食べる。汁なしにするとスープを別でくれたりするので、初めは汁なし、そして途中でスープをかけて楽しむのが通な食べ方。お店によってタレやトッピングが違ったり、自分でトッピングをカスタマイズできたりするのも楽しい。これが1杯40円くらいから食べられるから驚きである。

ほかには、この揚げ春巻きのようなものにハマって何度も食べた。この味付けが絶妙で、まさに日本の美味しいお店の揚げ春巻きそのもの。これで5〜10円。いったいどうやって利益を生み出しているのか不思議なくらいミャンマーのローカル食は旅人にやさしい。

ぜひミャンマーを訪れた際は試してみてほしい。


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