見出し画像

「いかがなものか?」という、社会の正論を超えてゆく【3月5日19時オンライン】

Twitterの「シャープさん」こと山本隆博さんと、ライツ社から新刊『マイノリティデザイン 弱さを生かせる社会をつくろう』を出版する澤田智洋さんの対談イベントが、【3月5日19時】文藝春秋digitalさん主催で開催されます。

なぜ、お二人の対談を企画したのか

「シャープさん」こと山本さんと、大手広告会社所属のコピーライターでありながら「世界ゆるスポーツ協会」の代表を務める澤田さん。これまで関わりのなかった二人ですが、実は共通している部分が大きく2つありました。

1つ目は、企業側・代理店側という立場の違いはあれど、テレビCMや新聞広告を作る仕事に従事していたこと。
2つ目に、どちらも「大きな広告にはできないこと」に気づき、「小さな私からできること」を始めた人だということ。

凡庸な広告の暴虐さを消したかった。|「シャープさん」山本隆博(@SHARP_JP)

ここに書かれていたのは、過去の自分の広告仕事への強烈な批判と戒めでした。ちょうど昨年の今頃、公開された記事を読み、僕は衝撃を受けました。

会社のツイッターを開設するにあたり「私」という小さな主語と、広告という大上段が両立する言葉を探りはじめる……たぶん9年前の私は、踏んぞり返る企業の言葉を殺したかったのだ。自分の都合を一方的に押し付ける、凡庸な広告の暴虐さを消したかった。だから私は社員を半分やめることで、企業の言葉を引き裂いた。結局のところ企業でも人でも、だれかに聞いて欲しければ、自分の言葉でおずおずと語るしかないのだ。

ふだんはとても温厚?でわたしたちを楽しませてくれるつぶやきでいっぱいのシャープさんが、少しいつもとは違うトーンで話してくれるその言葉は、広告業界以外の人でも、ものづくりやコミュニケーションに関わるすべての人に突き刺さるものがあったのではないかと思います。

一方、『マイノリティデザイン』の著者・澤田さんも、シャープさんがTwitterを始められたのと同じ頃、人生の大きな転換期を迎えました。そこから、いわゆる通常の広告をつくることをやめ、福祉の世界で活躍するコピーライターとなります。

そこから生まれたのが「マイノリティデザイン」。マイノリティが抱えるある意味での「弱さ」を、世界を良くする「力」に変えるアイデアのつくり方でした。

この世界にはまだまだ、担ぐべき課題があります。あちこちに散らばるマイノリティ 1人ひとりに、固有の──「ユニーク(unique)」な課題があるからこそ、ユニークな答えが見つかる。そんなまだ見ぬ新大陸は、マイノリティは、きっと福祉以外にもたくさん隠れている。

「大きな広告」から「小さな私」へ

そんな澤田さんに「シャープさんとの対談を…」とトークテーマを相談し、すぐに返ってきたテーマが、「大きな広告」から「小さな私」へという言葉でした。

シャープさんは、発信の起点を「企業」から「私」へ変えた。澤田さんは、アイデアの起点を「マジョリティ」から「マイノリティ」へ変えた。二人に共通するのは、「大きな広告」から「小さな私」へ主語を変えたってことだと思います、と。

そこから生まれた良いことはたくさんあったし、チクチクする声もたくさんあった。この対談企画の事前打ち合わせで、シャープさんはこんなことを言っていました。

とはいえ、「いかがなものか?」という声もたくさんもらうわけで。そこをどう乗り越えていくかなんですよね。

今回の対談では、そんな話をたくさんしてもらうことになりました。

・2人が感じた広告の限界とは?
・「わたし」や「マイノリティ」という小さな主語から始まる可能性とは?
・「いかがなものか?」という社会の正論を超えてゆくには?

3月5日(金)19時からオンライン対談で語り合います。無料開催です。ぜひご覧ください。



出版業界を新しくしたい。もっと良くしたい。読者と、書店と、友達のような出版社でありたい。「本ができること」を増やしたい。いただいたサポートは、そのためにできることに活用させていただきます。