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木の植え方|平屋私庭日記#4

前回の記事から2週間が経ち、植物たちは冬仕度に向けて徐々にくだり始めてて、そろそろ紅葉し始めそうな雰囲気です。庭屋は年末に向けてバタバタ忙しくなってきて、気をぬいたら京都の出町ふたばの和栗餅を食べそこねてしまいそうでソワソワしてる。11月には行きたい!

くだり始める:植物たちが冬に向けて紅葉や落葉していくことや、ハリがなくなったり、大人しくなるという意味に近い。感覚的な表現で使われるかな。

2週間で庭の世界ってそんなに変化がないんじゃないかなって僕自身が思ってたけれど、いつの間にか「茶の木」や「ツワブキ」が蕾を膨らませ始めてる。確かにちょっと前までなかったはずなんやけれどなぁ。
植物たちの動きや変化を感じる度にこいつら生きてるんやなって当たり前のことなんだけれど、ふと気付かされるときがあります。

お茶の木:ツバキ科でお茶の原料になる常緑樹。注意は毛虫がつくと厄介お茶の木を扱うのは公私ともに初めて。こんなに大人しめの花が咲くんやなぁ。下向きの蕾がまたかわいい!来春はこのコの新芽を摘んで中山産のお茶を作る!しっかり下調べしておかないと!

ツワブキ:寒い冬の時期に庭を黄色い花で華やかにしてくれる常緑の多年草ツワブキの蕾、黄色い花はこれから冬を迎える庭に大活躍してくれる!ツワブキは新しい茎を煮物なんかに使えるそうで、お茶の木もツワブキもこのエディブルガーデンにしっかり貢献してくれてます!

この庭の植物たちは位置や向き バランスなんかを考えながら一つ一つ手作業で植えてます。

そういえば庭って「デザイン・施工・お手入れ」、全て特注のオールハンドメイドやねんなぁ。同じものは二つとないし、木々の位置やバランスは建築やプロダクトのようにセンチ・ミリで決められてるわけじゃなく、その場の間合いを読み取る感覚の世界なところがある。そこらへんの伝え方や見せ方を今後の掲載で分かりやすくできたらなって思ってます。

というわけで、今回は中山家での植栽時の様子もすこし時間をさかのぼって紹介してみようと思います。

庭に木を植える

18年4月22日のこと。
庭の木々を購入するのは、僕的に欲しいカメラを思い切って買っちゃうくらいの値段感覚です!値段感覚は人それぞれだけれど安くはないと思う。でも初期投資後はずっと育てていけると考えたらいい買い物かなって思います。
まずは、この庭のサイズから本数と樹種をリストアップして卸屋さんに提出。その後見積もりを出してもらって金額を確認したんだけれど、思ってたよりカナリ高くて二晩悩み込みました。。
「本数減らそうかな、木の高さ下げようかな」なんて減額の方法を悩んだりもしたけれど「ここで妥協しては意味がない!経験に投資するんだろ!」なんて自分に言い聞かせながら思い切って購入!身銭を切るってことをしっかりと身体に染み込ませるいい買い物になりました。

でも植栽作業はいつでもワクワクします!気分はハレの日ってやつです!

卸屋さんで購入した木々と頂いたもの樹木:ジューンベリー、さくらんぼ、クロモジ、レモン、スダチ、ブルーベリー、馬酔木、マカダミア、モミジ低木・下草:お茶の木、コバノズイナ、アナベル、セイヨウイワナンテン、ラズベリー、ツワブキ、アガベ、ニラ、ローズマリー、フェンネル

ポイントは高木、中木、低木までをバランスよく揃えてるところかなと。下草や砂利などのグラウンドカバーはまた後日にしました。(普段は卸屋さんの植木畑から一本一本選ぶけれど、今回は時間の都合と注文だけで届く木々はどんな樹形のものが来るんだろうって興味本位がありました)

皆さんは黒色のポットと呼ばれる鉢は見たことあるかもだけれど、ベージュ色の生地に巻かれた根鉢の姿を見ることはあまりないかもしれませんね!サイズが大きくなると麻生地に根鉢を巻いた状態で卸屋さんから出荷されます。

まず、だいたいの位置に間配って庭内でのバランスを確認。

普段働いているGREENSPACEでは木々の配置図面があって、おおよそその図面に沿ってつくっていきます。今回は僕がざっくばらんに引いた図面で木々を揃えたので普段の仕事ではしない植物を全部間配って位置確認をしています。

ちなみに上の写真は僕が描いためちゃめちゃラフな図面!図面と言えるのか。。まぁ僕が分かればいいのでOK!この場で公表するとは思ってなかったからちょっと恥ずかしい。。

平面図面で高さや幅、木々の配置バランスを見て木々や植物たちがどのくらい必要かを書き込んでいきます。予算が限られてるから必要最低限の量でよく見えるように!正直これは毎日色んな庭を見ているからイメージできるだけで、他の方とは共有できないくらいラフ図面だと思う。

位置を決めたらいよいよ植栽開始!

右の鉢よりややひと回り大きく穴を掘る。そうすると前後左右への微調整だったり、あとで出てきますが「空気の通り道」を確保しやすい。

そして穴の底には黒曜石を高温で焼いた「ホワイトローム」というものを5センチほど引きます。この石は空洞が多く、保水と排水・空気を確保してくれる優れもの!僕のこれまでの経験からだけれど、根っこは水が必要だけれどその場に滞留するのを嫌がる。そして空気を欲しがってるなって思ってます。

この株の左側に立ててある黒い筒は地表から根鉢の底まで空気が行き届くように設置した空気の通り道。これ、普段はお見せしないけれど、けっこう重要なポイント!

それから裸の根鉢の周りを水で少しだけ削り、細かな根っこを露出させる。

これによって周りの土との活着が良くなって木々が倒れにくくなる。それから根鉢に生地が巻かれたままの状態だと根っこが外向きに伸びる確率が悪くなったり、足もとを仕上げていく際の微妙な起伏が取れにくくなる理由も!

土をかぶせた後は、しっかり根鉢の周りを棒で突いて地面を固めていく。

ココはポイント!この作業の度合いで木が倒れてしまう可能性もあるし、固めすぎるとせっかく根をはりやすくしたのに意味がなくなる。どのくらい突いて固めるか塩梅を分かってないといけないところ。流して見てしまうところだけれど、職人としての経験値が潜んでるんじゃないかな。

そんな行為を繰り返しながら、木々の互いのバランスや距離感、向きや角度を整え進めていきます。

こうして作業を終えた後、縁側に腰をおろしていっぷくすると作業中では見えていなかったモノが見えてくる。
・左の奥角に常緑の低木がほしいな
・サクランボの前面に植えたアガベの位置が悪いな
・下草を植えていかないとまだまだ足もとが弱いな

一度手を止めて少し離れた距離から眺めて微調整するポイントを確認して手直しをしていく。そのちょっとした手直しが庭をより良いモノにして行きます。

正直言って、植栽は地面に穴掘って植えるだけで、大切なのはバランスや角度だと思ってた。けれどこうして記事として伝えるために改めて考えてみると色んな工程や職人の塩梅がありますね。おかげさまで僕も改めることができました。
このときは追加で植物を購入して植栽したいと思ってたけれど、もう10月も終わりそう!今年中にできるかなぁ

定点写真#4 (18年4月28日撮影)植栽を終えた様子。「壁のブロック塀が目立つなぁ。左官で塗ってしまおうか。。」ってあのとき思ってたっけ。。

GREEN SPACE 若手庭師 中山智憲

GREEN SPACE HP 
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ライツ社

2016年創業。海とタコと本のまち「兵庫県明石市」の出版社です。writes.right.light「書く力で、まっすぐに、照らす」を合言葉に、ジャンルにとらわれず本をつくっています。 https://linktr.ee/writes_p

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ライツ社の周りにいる、普段は作家でもなんでもない(でもとてもおもしろいことをしている)みなさんの記事を連載。 2018年12月現在の連載タイトル ・「世界のお菓子(食)を巡る旅」菅野つばさ ・「平屋私庭日記」大阪の若手庭師 中山智憲
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