サクランボの人工授粉|平屋私庭日記#14
「花粉が飛び始めたらしい。」この情報をsnsやお客さんから聞くたびに今年こそ花粉症になるかもしれないとそわそわ浮き足立ってしまう。数年前に友人カメラマンから、花粉症はコップに水を注いていくのと同じで、つるつる一杯になって溢れ出たとき症状が表に出ると聞いたことがある。その体内にあるコップのサイズは人それぞれだけれど、みんな必ず持っていて常に水位は上昇していくらしい。そう考えると毎日庭で植物たちと過ごしている僕は誰よりも花粉をかぶり続けているわけで、誰よりも体内コップに勢いよく溜め込んでいるはず。それを考えると”xデーは今年かも知れない!”とドキドキしてくる。
身体は規格外のサイズなんだからコップも規格外のサイズであってほしいなぁ。
縁側に腰を下ろしてると、ふと足元が気になった。草がはえてる!まだ自分の気分は春に切り替わってないけれど、こいつらにとってはもう春なんやなぁ。
さくらんぼの木が満開に
花粉といえばいよいよサクランボの花が満開になった。今年は植物の動きだしも開花も例年より早い気がする。暖冬だったし降水量は少なかったらしいけれど、ポイントポイントでしっかり雨が降ってたから早いのかもしれないなぁ。
「サクランボ(桜桃)」実桜と呼ばれる食用の桜の果実で、さくらんぼの名前の由来は「桜の坊」から来てるとか。桜の品種はたくさんあるって話は聞いていたので色々調べてみると約600種あるらしい。
桜はめちゃ大きくなるから庭木にするには難しいって聞くけど、これだけ種類があるなら庭木として扱えるコがまだまだいてそうだなぁ。色々実験してみたくなってきます!
庭のサクランボ
待ちに待ったサクランボの花は真っ白で美しい!自分家の庭で花見ができるなんて贅沢すぎる!
花見ができるのは嬉しいけれど朝晩はまだまだ寒い。だから虫も飛んでいないしこのままでは実が付かない可能性が高いので、昨年レモンやカボスに行った人工授粉をサクランボにもやってみることに。
人工授粉
「本来は虫たちがやってくれる雄しべと雌しべを受粉させる行為を人為的に行うことを人工授粉という。」綿棒や耳かきの反対側についているフワフワした部分で雄しべ雌しべを交互に突いて接触させていきます。
レモンの時ぶりだからもういっかい人や本やyoutubeで見て聞いて調べてみると、綿棒より耳かきのフワフワでちょんちょん触っていく方が受粉してくれそうだったので今回は耳かきでやってみた。
あまりにも簡単な作業なので「受粉できてる!」って実感が持ちにくいので不安になる。でもちょんちょん触り続けていると、真っ白だったふわふわ部分が黄色に染まって来た!これは効果があるはず!
雨の連続
一回の人工授粉では成功率が低いように感じるので数回は作業したい。こんな時に限って天気がよろしくなくて雨の日が続く。このままでは人工授粉ができない!くーっ!
休日も中途半端な天候でなかなか授粉作業ができなくてモヤモヤする。満開の桜を目の前にしてただ雨を待つのはもったいない。せっかくなのでコーヒー淹れてオヤツ買って縁側でのんびりお花見をすることに。これって最高の贅沢だったなぁ
雨もやまないから金魚にエサをあげてボーッと観察するっていう久しぶりにゆっくりした時間を過ごしている。日差しが強くなるまでにこの子たちの日除けになる水生植物を入れてあげないと
綿棒でも人工授粉を
雨が多くて不安だったので去年レモンで使った綿棒受粉でもやってみることに。念には念を、抜かりなくです。
さて、やることはやったしあとは結果を待つだけです。もし実ができても本当に人工授粉の効果があったのかは分からないところ。サクランボの木が自分の力で受粉するかもしれないし僕が仕事に行ってる間に虫たちが作業してくれてるかもしれない。でもでも受粉に少しでも貢献できてたら嬉しいし、こうやって日々あの手この手を考えていくのが何より楽しいですね!
最後に
先日、グリーンスペースのジロさん高橋くんとお昼ご飯中に話してたことなんだけど、映画や小説を読み終えた後、いつもと変わらないはずの日常なのに世界がよく見えるような、嬉しさやワクワクどきどき気分が上がる経験があるよねって。新しいコートを来て外出する時とかもそういう気持ちになったりすると思う。
映画や小説、洋服から何気ない日常が少しだけ素晴らしくなるようなモノコトが庭を持つことで出来たらなって話してた。
僕自身が庭を持って植物たちと暮らし始めて、いつも通りの朝なのに庭で桜が咲いてるとハレの日のような気持ちにさせてくれる。
今日は早く帰って人工授粉しよう!って思うといつもの一日がなんだか楽しげになる。庭や植物にも映画や小説、洋服のような日常をちょっとだけステキなものにしてくれる何かがあるみたい。
定点写真#14。朝7時前、満開の桜が庭にあると何度もチラチラ覗きに行ってしまう。休日、寒いけどよく見えるように窓開けたまま厚着で過ごしてしまう。どうやらすっかり虜になってしまったなぁ。
GREEN SPACE 若手庭師 中山 智憲
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