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庭で目を据える|平屋私庭日記#5

先週は1週間ほど東京にて作庭や以前つくらせて頂いた庭のお手入れに回っていました。あっという間のようで長い1週間だったなぁ。
久しぶりに平屋に帰ってきて庭の様子を眺めているとツワブキの花がなくなっていることに気がついた!え、ないやん!

まじまじを見てみると鋭利な切り口が、、まさか中庭に人が!?
そう思い元警官の嗅覚を使って散策してみるも入られた形跡はない。もう一度花の茎部分を観察してみると鋭利な切り口だけれど二茎同時にハサミで切るのは難しいし、もしかすると鳥がクチバシでチギッたくらいの切り口なのでは!んーん、犯人は鳥さん筋が濃厚だなぁ。
これからの季節に欠かせない花だし花の茎は1本しかなかったのに。。まぁこれも庭を持つ醍醐味の一つかもしれませんね!ツワブキ持っていくならレモンは3個あるからそっちにしてくれれば良かったのに。

縁側であることに気がついた

今回は縁側を作りたての頃、まだ更地の庭だった時のお話から。庭をつくるにあたって、僕なりの哲学について考えてみたいと思います。

縁側をつくってからの休日は淹れたコーヒーを持って出たり、爪を切るときやインスタに記事を投稿するときなど外でも内でもない曖昧な場所「縁側」で過ごすことが多くなった。

コーヒー豆は東大阪にある元井珈琲マウンテンのモカ、そしてお気に入りのバワリーキッチンのマグ。ロゴとサイズ感がかわいい!

いつも通りの休日、縁側から更地の庭を眺めているとあることに気がついた。そのことが今でも頭の中で巡る庭のテーマの一つだからここで書いておきたくなった。

目を据えること

縁側から更地の庭を眺めていると「なんか落ち着かないなぁ」という違和感に気がついた。でも何に対して感じてるのかよく分からない。縁側の座り心地?もしかして体調でも悪いのか?なんてことを考えながら巻き爪になってる左足の薬指をなんとかしようと夢中になっていた。

「あ、もしかしてしっかりボーッとできていないのか!?」

どうやら「眺める」という行為はどこか目を据(す)えておく「モノや場所」が必要なんじゃないかなってこのときに思いついた。

それで何もない更地を眺めていてもキョロキョロして落ち着かなかったんじゃないかな、巻き爪を切るために爪の先に夢中になってる自分が少し落ち着いていることから何となく納得がいく。

他でも同じことでは?

庭で植物を眺める行為やカフェで外の景色や壁に飾られたアートを眺めること、銭湯で富士山の絵やタイルの模様を眺める行為は似てるんじゃないかなと思う。その共通点は、どれも目をどこかに据えることで落ち着くことができたり、気持ちの切り替えとか考え事にふけることができているんじゃないかな。

僕が好きなお店を思い返してみる

大阪 帝塚山にあるcozy coffee spot。ここは最高に居心地がいいし店内のアート作品やインテリアの色彩が好み!数人でゆったりおしゃべりを楽しんでいる方々や本を読んでいたりワンちゃん連れてきてたりとそれぞれが落ち着いて目的にのめり込んでいたなぁ。しかも窓の外では路面電車が定期的に走っているのでついつい眺めてしまう。※写真2枚目左からグリーンスペース代表コーゾーさん、高橋くん、そして僕。

こうして好きなお店で思い返してみると店内のアートやインテリア、窓の外の動きなんかに目を据えることができて落ち着くことができているのかも!※もちろん店員さんやその他たくさんのいいものが重なり合って良くなってるのもあると思う。

銭湯も好きなんだけれど、浴場の写真は撮れないのでイメージを!

こういう壁絵やよく分からない模様のタイルはやはり眺めてしまう。僕の中でボーッとできる銭湯と出来ない銭湯があるんだけれど、思い返せば目を据えれる据えれないというところだったのかも!あの微妙なデザインのタイルについて銭湯好きの方とお話がしたい!

じゃあ庭は?となると僕の好きな古庭園の無鄰菴や光明院、龍安寺などの庭で据えてある石は、その役割があるのではと思ってます。
(造園的・宗教的などの要素ははぶいて書いてます。)

写真は京都 光明院。普段はお客さんも少ないから据えられた石を眺めながらゆっくり縁側に座ってられる。作庭は重森三玲さん

京都 無鄰菴の庭。ここは京都のお寺の庭で一番好きかもしれないとこ!小川の流れや石橋、奥へと続く植栽の重なりをこの縁側からずっと眺めてられる。作庭は七代目小川治兵衞さん

僕の家の庭ではどうなんだろう?

中央足元のアガベや真正面のブルーベリーなどが目を据える役目を担ってるんじゃないかな、その他にも季節の花や実もそうだと思う。こうして更地の庭と比べてみると分かりやすい!

カフェも銭湯も庭も、ぶっちゃけ生活に必ずいるものではないと思う。日常のちょっとした贅沢だったり趣向品のような存在、だけど落ち着いたりくつろいだり考え事にふけ込める何か大切なものを支えてるように感じる。
僕たち庭屋はそんな日常の背景をつくっているのかもしれない。そして人が落ち着いたり気持ちを切り替える為に目を据える場所がそばにあるとプラスになるのであれば、庭はまだまだみんなの中に入り込んでいける可能性を秘めているんじゃないかな。

僕の目を据えるというお話、これからも考えていくであろうテーマの一つです。

定点写真#5 いよいよジューンベリーやブルーベリーが紅葉し始めた。冬がやってくるなぁ。

GREENSPACE 若手庭師 中山智憲

GREEN SPACE HP
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ライツ社

2016年創業。海とタコと本のまち「兵庫県明石市」の出版社です。writes.right.light「書く力で、まっすぐに、照らす」を合言葉に、ジャンルにとらわれず本をつくっています。 https://linktr.ee/writes_p

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ライツ社の周りにいる、普段は作家でもなんでもない(でもとてもおもしろいことをしている)みなさんの記事を連載。 2018年12月現在の連載タイトル ・「世界のお菓子(食)を巡る旅」菅野つばさ ・「平屋私庭日記」大阪の若手庭師 中山智憲
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