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スウェーデンのFat Tuesday|世界のお菓子(食)を巡る旅#14

スウェーデンのFat Tuesdayには国民的スイーツ「セムラ」を。

デンマークから、お隣の国スウェーデンへ日帰りで行ったときのこと。ここに来た理由の1つに「セムラ」があった。
セムラとは、スウェーデンの伝統的なお菓子(パン)で、クリスマス明けからイースターの前の時期になると、いろんなお店に並べられるのだそう。

カルダモンを練りこんだブリオッシュ生地の上部をカットし、そこにペースト状(またはシート状)のマジパン、さらにその上に無糖の生クリームをたっぷり絞り、パンの蓋をし、最後に上から粉糖をたっぷりかける。見た目はシュークリームに近いが、クリームパンの方が近い。

少し歴史を調べると、元々キリスト教の国や地域では、イースター前の四旬節に肉や乳製品の断食を行っており、この断食の始まる前日の火曜日に栄養価の高い動物性のものや、脂肪分たっぷりのお菓子を食べたそう。これがFat Tuesday(謝肉祭の最終日)として広まった。

今では断食の習慣は薄れて、Fat Tuesdayや謝肉祭(カーニバル)だけが人々の文化として残っているというわけだ。そしてここスウェーデンでは「セムラを食べる」という習慣が国民の文化の1つとして根付いている。
最近では、雑誌やブログなどでもその年の美味しいセムラランキングが紹介されたりして、各店舗力を入れて味を競い合っていたりと、毎年この季節のイベントとしてみな楽しんでいるようだ。

前置きが長くなったけれど、やはり背景を知ってから食べるのは違う。大きく意味も変わってくる。

実際にわたしが食べたセムラは2つだ。「KONDITORI KATARINA」というお店と「HOLLANDIA」の2店舗。

「KATARINA」は、お店の名の下に誇らしげに堂々と整列するセムラがなんとも愛おしい。店内に入ると通常のサイズのものとミニサイズのものがあり、わたしはミニサイズをオーダー。ミニと言っても充分な大きさ。
カルダモンのスパイシーさと、甘いざらっとしたマジパンに、たっぷりの軽い生クリームが意外とマッチしていて日本にはない味わいだった。

そもそも日本にはあまりスパイスを使うお菓子がなくて(日本人はあまり得意でない、というか慣れていないイメージがある)、スパイス入りのスイーツを食べると、あ〜海外の味だな、となることが多い気がする。

2店舗目の「HOLLANDIA」はわたしが訪れた「Malmö(マルメ)」の街では有名店。ここではさらに小さい一口セムラを。ちょっとした手土産にも喜ばれるサイズで、複数個買って帰る人も多かった。こちらの方がマジパンの存在感がしっかりあったように思うが、個人的には「KATARINA」に一票。

最後に。スウェーデンには「FIKA(フィーカ)」、甘いものと一緒にコーヒーを楽しむという文化があり、それはただのコーヒーブレイクではない。同僚や友達、家族と甘いものやコーヒーを楽しみながら会話を弾ませ、関係性を築くという、非常に重要なコミュニケーションの役割がある。スウェーデンの人たちはこの時間をとっても大事にしていて、同僚とフィーカ中は仕事の電話も出ないこともあるそう。

日本ではなかなか根付きにくそうな文化ではあるけれど、スマートフォンを置いて、暮らしの中に、フィーカの時間をつくってみてもいいのではないかとわたしは思う。


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ライツ社
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