巡り合わせ|平屋私庭日記#36
暖冬な今年は寒さを楽しめるちょうど良い気候だと思う。例年の寒さでは出来ない冬の縁側に座り込んで庭を眺めることに新鮮味を感じる。今回は縁側でふと考えることを書いてみたい。
毎年の繰り返し
庭の植物たちは毎年同じことを繰り返している。新芽が出て花を咲かせて、実をつけて、種を落として紅葉して落葉、冬籠りから春支度をする。僕もほぼほぼ変わらない接し方をしているつもり。朝や仕事帰りに水をまいて週末は縁側から眺めたりちょこちょこ剪定したりする。
お互いに同じことを繰り返している中で、毎年違った発見があったりする。
僕と植物はお互いに生から死まで真っ直ぐ縦軸を走らせているのに、たまにその線が交差する時がある。そういう新しい発見や出会いがあるのは、ただ僕が気になり出したからだけではなく、何かの巡り合わせということもあるように思う。お互いが引き寄せられているような感覚。
1枚目:お茶の木の花柄に雨水が溜まり水蕾になって可愛さをかもし出してる。
2枚目:ジューンベリーの蕾がもうけっこう大きくなってる、これは例年より開花が早そう。
3枚目:もう死んだかと思ってたワサビが冬になって元気を取り戻してきた、庭でもワサビは育つのかもしれない。
4枚目:アガベの休眠が終わりもう動き出した、早すぎる。
なんで去年じゃなくて今出会う発見なんだろうって思う事がしばしばある。お互いにすれ違わず交差するタイミング、それを僕は巡り合わせだと思っている。
巡り合わせと言えば、最近は他でも感じていることがある。
独立者たち
独立開業してからは今までの比じゃないくらいたくさんの方にお会いする。
業界の先輩方の現場へ応援に行ったり、新しいお客さんとの打ち合わせ、その帰り道に知人や友人に会って食事したり。
職人として面白いのは現場応援に行くと、前職とは違うスタイルや哲学、完成へのアプローチを経験できる。それはこれまで培ってきた自分の知識経験について改まったり新しい発見があったりするから面白い。
そして人と会うともちろん会話するわけで、話しているうちに自分の考えやこれからどうして行きたいかを、改めて見つめ直し言葉にする時間になる。今はそういう会話がとても貴重な整理の時間になっている。僕はいつもいいタイミングでいいモノゴトが運ばれてくる。ありがたいなぁ。
そうそう、最近は同じタイミングで独立したり、これから独立する方とよくお会いする。本当にタイミングが良すぎてこんなに同時期に独立を考えるものかと驚くくらい出会う。そして先に独立し走り出している同世代たちにも声をかけてもらう機会が増えた。
みんなそれぞれ目指す道があってその生涯の縦軸をしっかり進んでる。その軸は真っ直ぐなんだけど、たまに誰かと重なり合うことがある。独立の目というかお互いに引き寄せられる何かがあるみたいだ。
そういう方々とお話ししていると、独立という未知なる挑戦への決断を称え合う空気を感じるし、やりたいことを真剣に話し聞き会える心強さを感じる。そして何よりこれから来るであろう不安に対して一緒に乗り越えていこう!っていう共有力というか結束力を感じる。同じ志を持つ独立者たちにお会いできることは本当に心強い。
全ては巡り合わせ、これもまた良いタイミングでいいモノゴトが運ばれてきている。
先日の東京散歩。同い年の方が営むコーヒースタンド。コーヒー片手に話し出せばいつだってコミュニケーションがうまれる。@baggage_cafemarketにて
最後に
植物も人も大体は同じことを繰り返しているけれど、何故か重なり合うタイミングがある。庭師として独立しても普段の過ごし方はそこまで変わらない。けれど同じような心境の方に多くお会いするのは引き寄せ合う何かがあるのかもしれない。全ては巡り合わせだなぁ。
定点写真#36。まだ1月だというのに蕾の膨らみが大きかったり、たまにちょっとだけ新芽を出しているものもいる。今年の春は例年とは違う動きになりそうだなぁ。
園園. 庭師 中山智憲
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