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売上を、減らそう。_たどりついたのは業績至上主義からの解放

ライツ社から、このたび初めての著書を出版させていただく、佰食屋の中村朱美と申します。

本のタイトルは『売上を、減らそう。』、サブタイトルは『たどりついたのは業績至上主義からの解放』となりました。

なぜ書くのか

はじめに、そもそもなぜこの本を書くのかを、お伝えしたいと思います。

堀江貴文さん監修のもと出版されている『まんがでわかる 絶対成功!ホリエモン式飲食店経営』(講談社)で、佰食屋はこんなふうに紹介されています。

・サービスを極限まで絞ることで売上を上げているお店
・飲食店の形は自分の人生に照らし合わせて決めることができる

この2行の冒頭、「サービス」と「飲食店」を「働き方」に変えるとこうなります。

・働き方を極限まで絞ることで売上を上げているお店
・働き方の形は自分の人生に照らし合わせて決めることができる

つまり、どれだけ儲かったとしても、「これ以上は売らない」「これ以上は働かない」。 

あらかじめ決めた業務量を、時間内でしっかりこなし、最大限の成果を挙げる。そして残りの時間(人生)を自分の好きなように使う、ということ。

飲食店関係者だけでなく、すべての働く人たちに、この2行に集約された佰食屋のビジネスモデル、働き方のすべてを共有したい。そう思い、この本を書きました。

何のための本か

『売上を、減らそう。』というタイトルは、わたしが「佰食屋」という飲食店を通してやろうとしていることが一言でわかるように、と考えました。

わたしがしていること、そして、この本は何のための本か?というと、世の中の「業績至上主義に疑問を唱える本」です。

「100食以上売ったら?」
「昼だけじゃなくて、夜も売ったほうが儲かるのでは?」

たしかに売上は上がるでしょう。
でも、働く時間は増えるのに、給料はあまり変わらない。会社が儲かっても社員が報われないのはおかしい。

「営業時間を伸ばせば伸ばすほど売上は上がる。だから頑張れ」
売上が落ち込んでいると「頑張れ」、元気がないと「頑張れ」、連休前も、連休中も、連休明けも、いつも「頑張れ」。

もう「頑張れ」なんて言いたくない。
わたしは「仕組み」で人を幸せにしたい。

「残業ゼロなんて、うちは業種も規模も違うから無理」
「佰食屋だからできるんでしょ?」
「同じだけテナント料を払うなら、なるべく長い時間できるかぎり商売しよう」

ちょっと待ってください。
そもそも就業時間内に利益を出せない商品とか企画ってダメじゃないですか?

「会社を存続させるためには、ビジネスをスケールさせ、利益を追求することが重要だ」
「多店舗展開をしよう。今年も前年比を更新して売上を増やそう。」

みんなが売上を追いかけてうまくいっていないのなら 、
もうそれを追いかける必要なんてない。
社員を犠牲にしてまで、「追うべき数字」なんてないのです。

「普通なら『売らない経営』などのタイトルがビジネス書としてベターだと思うのですが、それだと、中村さんの姿勢や佰食屋が持つストーリーが伝わらない」と、編集担当の大塚さんは言ってくださいました。

どんなことを書いたか

<本の目次>
第一章「超ホワイト企業『佰食屋』はどのようにして生まれたのか」
第二章「100食という『制約』が生んだ5つのすごいメリット」
第三章「佰食屋の労働とお金のリアルな実態」
第四章「売上を目標にしない企業は、社員になにを課しているのか?」
第五章「『佰食屋1/2』働き方のフランチャイズへ」

「最初の一歩をどうやって踏み出したんですか?」。
起業する、しないにかかわらず、多くの人が「自分でなにかをはじめること」に悩んでいるでしょう。だから、わたしの心の動きやバックグラウンド、どんな将来を見据えてはじめたのか、という話はもちろん伝えたい。
第一章では、「超ホワイト企業『佰食屋』はどのようにして生まれたのか」と題して、創業ストーリーを書いています。

「どんなことを大事にして会社をつくっているんですか?」。
次に、大企業の考え方とは違う、いわゆる佰食屋流の一本芯の通った考え方。
みなさんが、さまざまなメディアで「どうも佰食屋はほかの会社とは違う」と感じてくださった部分の、じゃあ具体的にどこが違うのか、という点をわかりやすく届けたい。
第二章では、「100食という『制約』が生んだ5つのすごいメリット」として、佰食屋のビジネスモデルをよりストンと、腑に落ちて理解してもらえるように分解しました。

「わたしなんて、勉強はちょっと……」。
この本は、経営者やマネジメント層の人に、一度立ち返って、自社の従業員の在り方を見直してほしい、という意味で読んでほしいのはもちろんですが、主婦の方や一般の働くみなさんにこそ読んでもらいたい、と考えています。
「100食限定」つまり、自分のやるべきことを絞る、自分の人生に合わせた売上を稼ぐ、というキーワードは、誰しもに関係ある「働き方」そのものだからです。
そのために、第三章と第四章では「佰食屋の労働とお金のリアルな実態」「売上を目標にしない企業は、社員になにを課しているのか?」として、従業員の働き方に焦点を絞って、できるかぎりの実例を書き出しました。

そして最後に、第五章には「佰食屋1/2 働き方のフランチャイズへ」という、わたしたちの新しい挑戦の計画書を書き記しました。

出版は6月14日(金)Amazonでの発売も開始しました。

佰食屋を始めてからこれまで、思った通りにできたことも苦労したこともありました。
できれば今後、挑戦をしていく人たちには、この本を読んで、わたしのいいところは真似してほしい。
でもわたしが失敗したことや、しなかったらよかったと思うことは、後悔しないように先に知っていてほしいと思っています。

泥だらけになりながらも、何度こけても、何度失敗しても、諦めない鋼の心をもって、自分らしい働き方を世に広めるべく、わたしは走り続けてきました。そのすべてを言葉にした一冊です。

今後、本文を抜粋していく形で連載もしていく予定です。どうぞよろしくお願いいたします。



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ライツ社
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