カンパニュラの花と、5月の動き|平屋私庭日記#19
今回は初めてカンパニュラという花の苗を育てたこと。どんどん変化していく植物たちの経過や、嬉しい収穫があったことを書いてみました。
カンパニュラの花
カンパニュラの花が好きだと、妻が話していたことがある。僕は時間があればホームセンターにいい苗を探しに行くのが習慣。東京や大阪市内に住んでいればオシャレな花屋に通って店員さんと植物談議でもしてただろうに、僕が住む八尾はコテコテの大阪でオシャレとは無縁の下町。BRUTUSなどの雑誌で東京のオシャレ花屋を眺めながら、現実は近所のHC(ホームセンター)に通うしかない。そんなHCに通い詰めるとたまにはエディブル植物以外も覗いてしまうわけで、そんな時にふと妻が話してたカンパニュラの苗が目に入ってきた。妻へのポイントを稼ぐつもりはないけれど、咲いた花を実際に見たことがなかったので購入することに。
まさか僕が花の苗を育てるようになるとは。。友人に知られるとちょっと恥ずかしくなる気持ちを抱きつつ日々の水やりに励んだ。造園歴は6年目だけれど、園芸の花を花壇で育てる経験がない僕の造園的育て方でもぐんぐん伸びるカンパニュラ。本当に咲くのか?と思うくらい花芽を付けないし伸びるだけだし、その経過が面白くなくて見捨てたいくらいの時もあった。
しかし、あまり関心を示さなくなった頃合いに、たくさんの蕾を膨らませていることに気がついた。
大きな蕾、数日意識して見てないだけでこんなに姿を変えるとは。これだけ蕾が大きいと花のサイズが楽しみになってくる。そしてそこからあっという間に開きだした。
カンパニュラの花。この曲線の美しさといいベルのような容姿といい本当にあっぱれな美しさ。なんでこのコの存在を今まで知らなかったのか。今までの自分を疑ってしまう。。
そんなカンパニュラに見とれながら、一度は見捨てようとした罪悪感を抱く曖昧な気持ちを背負ってしまった。すまないと思いつつ、でも水は毎日あげたのだからお相子だろうという気持ちと、妻がインスタのストーリーに投稿してたからこれで良しということに。コテコテ大阪のHCだって捨てたもんじゃないですね。来年は満を辞して育ててみたいなぁ。
※造園と園芸の違いをざっくり言うと。園芸は植えた植物を交換していくのが基本かなと。それに対して造園は植えた植物を半永久的にお手入れをしながら育てていくことが基本かなと思ってます。
それぞれの5月
虫が本当に苦手だ。友達に書きすぎ!と言われるくらい嫌いすぎて書いてしまう。警察をやってたころ、この世で一番怖いのは「人」だと確信した。それくらい事件や日々の処理に追われていたし危ない目にあったり数々の修羅場も越えてきた。そんな経験から思うのだから当時26歳の僕にとって揺るぎないものだった。
しかし今、若手庭師になってこの世で一番怖いのは人ではなく「虫」だという確信を持った。虫は何かあればすぐに刺してくる。どう警戒しようがお構いなしだし容姿があまりにも怖い。人は怖いと言ってもそんなにすぐ刺してくるわけではないし、包丁持って歩いてる奴ないんてそうそういない。間違いなく虫はこの世で一番怖い存在だ。
毎朝アゲハチョウの幼虫や卵と格闘することから1日が始まりる。最初は小粒で真っ黒なんだけれど大きく育ってくると緑色で小指くらいの大きさになる。そうなると生きてる感が増してきて触れることができなくなる。だからできれば卵のうちに始末しておきたい。
僕はそんな虫たちと四苦八苦する5月を過ごしていたけれど、周りの植物たちも紹介したい。
レモンの経過
レモンは植えて2年目から実がならないという話がけっこうチマタでの悩みだったりする。けれど平屋のレモンはたくさん蕾を付けてて、このコたちに人工授粉すれば成る可能性はカナリ高い。他の庭と何が違うのかなぁって考えてみると、一番の理由は水やりの量ではないかという線が強い。今年の冬も極寒の庭にめげずに水を与え続けたし、3月入れば毎日あげるようにしてきた。肥料や先端の芽を切っておくことや、光合成の量を確保するために葉を幼虫に食べられないように死守するなども必要だと思う。けれど、どーやら果樹はカナリの水を必要とするみたい。
もし平屋私庭日記を読んで頂いてる方でレモンがならない!という方がいれば、試して頂きたい。自分が思ってる何倍もの水やりが毎日必要みたいだ。
去年同様に人工授粉をしているところ、いつもこんな簡単な作業だけで大丈夫なのかと心配になる。
満開の矢先に、花がポロポロ落ちる事件が発生した!
花が落ちるし花殻を落とした子房までポロポロ落ちる。結局この写真の1個だけが残った。
水か!?ナメクジの大量発生か!?生理落下にしては早いような。。植木の卸屋さんで話し込んで見るも答えは出ず。。まだ自分の中で整理ができないままでいてる。また考えが固まってきたら書いてみます。
サクランボは順調に収穫
どうやら「明日には腐るか実が裂けるか幼虫が食べ出すか」くらい瀬戸際が一番美味しいみたい。どれだけ待てるかが肝心
今年もたくさん収穫。見ていてうっとりする美しさ!もちろん美味しい!
サクランボの木は満開の桜を鑑賞できるし実は食べれるし本当に優秀なコですね。
ビーチプラム
あまりにも動きがなかったし枝はポキポキ折れて水気もないからもう枯れた宣言しよかなと思ってたビーチプラム。枯れたような枝からキレイな花が咲いてくれた。桜みたいでキレイだったなぁ、
どんな実がなるのか楽しみだったけれど、、
花は咲いたけれど実がならなかったから来年に持ち越し。ここが植物生活の辛いところで、今年がダメなら来年まで待つしかない。ここがどうしようもないところ、待つしかない。
りんごアルプス乙女
りんごは10個くらいの実が順調に育ってくれてる。アルプス乙女は5センチくらいの可愛いりんごになるので秋の収穫が楽しみ!
最後に
庭の植物たちは上手くいくものもあれば、いかないものもある。レモンが順調に育ったと思ったら花目を落としまくるという予測してなかった動きをするし、サクランボなんかは教科書通りすくすくと育ってたくさん実をつけてくれた。調べたことや聞いたことを実際に自分が体験し身体に落とし込むことで、また一つ庭師としての引き出しが増えたのかなと思ったりする。時間を重ねていかないと分からない事だらけだし、こちらが望んだ通りに動かないのが植物や庭なんだなって改めて思う。
でも、そこが醍醐味でもあるから庭は面白い。
定点写真#19。そろそろジューンベリーが収穫できそうな気配、今年もたくさん収穫できたらジャムを作ってみよっと。
GREEN SPACE 若手庭師 中山 智憲
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