【6/30まで】書店を元気にしたい!本屋が無料の本を作り、全国での配布を目指す!
大垣書店が発行するオリジナル雑誌を創刊し、店頭で無料配布します。「新たな本との出会いを楽しめる」雑誌をきっかけにたくさんのお客様に書店店頭に来てほしい。さらにこの輪を広げ、全国の書店店頭で配布することを目指します。
ごあいさつ
こんにちは!創業昭和17年京都発の地域密着型書店「株式会社大垣書店」でコンテンツ事業部長兼、文化の総合施設「堀川新文化ビルヂング」ディレクターをしている大垣守可です。
今回挑戦するプロジェクトは、大垣書店の新事業となる、オリジナル雑誌『羅(うすもの)』の創刊です。
どんな雑誌なのか
『羅(うすもの)』は、「本」を楽しんでもらうための雑誌です。若い人にも手に取ってもらえるよう、高校生から楽しめる内容を目指しています。編集長は京都を拠点に活動する批評家、黒嵜想さん。気鋭の書き手による小説・紀行文・インタビュー・書評等を掲載。書評や本にまつわる記事、「本の広告」を多く掲載することで、新たな本との出会いを生み出します。
タイトルになっている「羅(うすもの)」は古代から使われる言葉で薄く織った織物のこと。経糸と横糸で文字を織りこまれたこの薄い雑誌は、普段着として気軽に文学をまとってもらいたいという気持ちが込められています。
また本誌は、リアル・ネット両方で活動しメディアを問わないコンテンツを広く展開することで、全国の読書人のコミュニティとなり、また読書文化への入口となることを目指しています。
また、読書のインフラづくりの一環として、書店店頭にて無料で配布、近隣の学校様への寄贈も予定。将来的には、全国の書店での展開を視野にいれ準備を進めています。
『羅(うすもの)』を誰もが欲しくなるメディアへと育て、書店へお越しいただく機会作り、新たな読者や作家の活躍の場を創出し、本の世界を盛り上げていきたいと考えています。
プロジェクト立ち上げの背景(これまでの取り組み)
私ども大垣書店は、これまで「地域に必要とされる書店であり続けよう」を社是に、様々な地域に、その地域のための書店を作ってきました。
書店不況の中、様々な工夫を凝らした書店が生まれていますが、私どもは何か一つのジャンルに特化するのではなく総合書店として「幅広いジャンルがそろっていること」が地域のために必要であると信じて店づくりをしてきました。
地域に向き合う姿勢は書店の棚づくりにも表れています。
新規開店する書店は、当然その地域の特徴を調査しラインナップを決めます。しかし、書店づくりは開店してからがスタートだといわれます。お客様と向き合い、3年~5年の歳月をかけ、品揃えをチューンナップしていきます。そうして地域のニーズに合わせていくことでより親和性の高い書店づくりを行います。
なぜなら、私たちは書店というのは日常生活の延長線上にある場所で、誰もが分け隔てなく入れる公共的要素を持った空間であると考えているからです。
そんな中、2021年、京都西陣に「堀川新文化ビルヂング」という新たな商業施設を企画、開業しました。1階に大垣書店、カフェ&バー、印刷工房があり、2階にはギャラリー・イベントスペースがあります。書店の隣で本のオーダーメイドができる、まさに「本が作れる本屋」です。
この施設を作る際、私が思い描いていたのは書店の未来像です。それは「せっかくリアル店舗に来て紙の本を見てくださるのだから、中身だけでなく、手触りや洗練された装丁にこだわった、モノとして楽しめる本がたくさんある書店。しかも、それを自分たちで生み出せる空間」でした。
「堀川新文化ビルヂング」の書店の品揃えも地域に向けたラインナップです。その中にモノとして楽しめる「上質な本」が加わっており、日常生活の中でそうした本に触れていただける仕掛けになっています。日常生活の延長線上に本当の豊かさを。これが大垣書店としてお客様に提供してきた価値だと自負しています。
『羅(うすもの)』の大事にしている考え方
『羅(うすもの)』は堀川新文化ビルヂング内にある「NEUTRAL(ニュートラル)」というギャラリーがきっかけになっています。その名の通り、中立であることをコンセプトに掲げています。
それは「書店のように中立な空間」「書店のように開かれた空間」「書店のように安心できる空間」として日常の延長線上にあるギャラリーです。
まるで書店に立ち寄るかのように、ジャンルにとらわれない様々な企画やイベントを実施し、アートやクラフトを気軽に楽しめる空間で皆様に豊かさをお届けしたい。入場無料で、こちらも地域の方々を中心に広くご愛顧いただいています。
書店だからこそできる、ジャンルにとらわれず、様々な表現ができる二次元のギャラリー。それが『羅(うすもの)』です。
なぜ批評誌なのか
今号が製作される前、2023年に『羅(うすもの)』0号を発行する際に考えていたのは「今の私たちがやるべきことは何か」ということ。書店という「お客様との接点の場」があり、ギャラリーという「表現の場」もある……、足りないものは「自由に評論する場」ではないか? と考えました。アートや本などの作品を見た人たちのための場所が必要だと、これまでの活動を振り返り感じたのです。
アートや本の感想はSNSでも発信できますが、紙の本で批評誌を作るのには書店として、文化施設として今の世の中に思うことが少なからずあったからです。SNSをひらけば誰もが自由闊達に自身の考えを述べることができます。しかし、多くの場合それは匿名であったり、真偽不明であったりと信頼にかける部分がどうしても出てきます。
紙の本として出版することは、書き手が明らかになること、一度印刷してしまえば後戻りできない環境を作ることです。当然、書き手も発行元も誠実さや正確性を追求することができます。そして、紙の本として長く残すことができる。そこでできたのが『羅(うすもの)』0号です。
これから創刊する『羅(うすもの)』シリーズは、さらに以下の構想を描いています。