明石の出版社からどうしても届けたかったのは、「社会は1票で変えられる」という事実
2023年の1月にライツ社から出版された『社会の変え方 日本の政治をあきらめていたすべての人へ』が、いまもっとも読まれるべきビジネス書を決める「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024」の【政治経済部門】にノミネートされました。
この賞は、一般読者の投票で決まるものです。記事をお読みいただき共感いただいた方は応援いただけると幸いです。よろしくお願いいたします。
4月23日(日)、統一地方選が終わりました。明石市の結果はこちら。
この時代に投票率が前回より2%増。そして、泉房穂・明石市長の退任が決まり、後継指名を受けた丸谷さとこさんが明石市長に当選。同じく泉さんの推薦を受け「明石市民の会」として市議会選挙に立候補した5名も全員当選。対立候補の陣営は、国会議員や元芸能人をフル動員して選挙戦に挑んでいましたが「でも、そんなの明石には関係ない」と、明石市民が判断した結果となりました。
この結果から、明石市民として、そして明石にある出版社として伝えたいことは、どう考えても「1票で政治は変えられる。社会は変えていける」ということです。
2023年のはじめ、統一地方選が始まる4ヶ月前にライツ社は泉さんの本を出しました。タイトルは『社会の変え方』。帯には「日本の政治をあきらめていたすべての人へ」と記しました。この本には「原点は、冷たい社会への復讐」として、泉さんと障害を持った弟さんの生い立ちに始まり、市長になってから明石市で実行した「日本初」の政策の数々、市民の「生きやすさ」とまちの「経済」にもたらした効果、また「明石でできることは全国でもできる」を合言葉に、その実現に向けて実行した「お金と組織の大改革」の舞台裏まで、泉市政の12年間がまとまっています。
その12年間の泉市政の評価は、正直言ってわかりません。そもそも評価なんて人によって異なれば、時が過ぎれば変わるものです。泉さんも仰られているとおり、「こどもを核としたまちづくり」というのは、いまの時代の明石というまちだからこそ必要とされた政策であり、場所が変われば求められる施策も変わります。
だからこそ、本書を通して、また今回の選挙を通して届けたかったのは1つだけなんです。「社会は私たち市民の1票で変えられる」という事実です。
泉さんが市長になる前、明石を「好きだ」とは言えなかった
泉さんが明石市長になるまで、明石市は衰退の一途でした。明石で生まれ明石で育ったぼくは、その光景を目の当たりにして育ってきました。明石海峡大橋がおとなりの神戸市に架かり、淡路島への航路だった「タコフェリー」がなくなり、四国方面からの本州の玄関口という立場を失いました。明石の台所であるはずの「魚の棚」の人はスカスカ。駅前のダイエーは撤退し、一等地の建物はほぼ幽霊ビル状態。そして、実家の近くにあった市場をすべて立ち退きさせてできた再開発モールはほとんど人を呼べず、市民の私たちから見れば「失敗」だった。そんな状況の地元を、ぼくは決して「好きだ」とは言えませんでした。
でも、その後泉さんが市長になってからの劇的な変化は、このツイートにあるとおりです。
泉さんが明石市長に初当選したのは12年前。2011年。一騎討ちの結果は、わずか69票差。対立陣営は、当時の県知事をはじめ、政党や業界団体すべての推薦を受けての立候補。対する泉さんの支持母体は「市民のみ」でした。それでも1人ひとりの1票の積み重ねで勝ち切ったのです。
その8年後、泉さんは暴言問題により退任。しかしその後、市民から4800名分の署名が集まり、出直し選への立候補を決意。結果は、圧勝。その署名を集めたのは、「名もなきお母さん」たちでした。以下は、その署名運動をされた「泉市長を勝手に応援する市民の会」のfacebookからの引用です。
このときから4年後が、今回の選挙です。もう一度、その結果を記します。
日本の政治をあきらめていたすべての人へ
この時代に投票率が前回より2%増。そして、泉房穂・明石市長の退任が決まり、後継指名を受けた丸谷さとこさんが明石市長に当選。同じく泉さんの推薦を受け「明石市民の会」として市議会選挙に立候補した5名も全員当選。対立候補の陣営は、国会議員や元芸能人をフル動員して選挙戦に挑んでいましたが「でも、そんなの明石には関係ない」と、明石市民が判断した結果となりました。
やっぱり、なにをどう考えても「1票で政治は変えられる。社会は変えていける」と思うんです。
ライツ社は明石市にある、社員6名の小さな出版社です。もちろん、初めて出した政治の本です。政治について扱うことは、私生活と同じように出版社としても、とても勇気のいることです。
でもタブー視していても、斜に構えていても、社会はなにも変わらない。私たちの暮らしは変わらない。そして、自分たちが政治の本を出すのであれば、自分たちが暮らすまちの市長以上に、自分ごととして、当事者として、本づくりをさせてもらえる人はいない。泉さんや今回当選した丸谷さん、明石市市民の会のみなさんの覚悟には及びませんが、ぼくもいち編集者として出版社として、覚悟を決めて、「1票で政治は変えられる。社会は変えていける」という事実だけを届けたくて、この本を出しました。
この本が、今回の結果に微力でも貢献できていたらうれしいし、まだまだこの思いをつないでいきたい。広げていきたい。だからぜひ、この本をお読みいただければ幸いです。
泉さんは言っていました。本は、時代と場所を超えていける「想像力の翼」だと。そして、「想像力とは、やさしさのことだ」と。分断と格差が広がる時代の中で、この本が、やさしさという想像力を広げていける翼になりますように。そう強く願っています。
<さいごに>
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