「絵と生きてきてよかった」 絵本作家たなかしん20周年記念ベスト作品集 『REMEMBER』
幼稚園の頃、ぼくは世界が怖くて仕方なかった。おともだちはみんなぼくより大きくて友達になんてなれそうもないし、のらねこはいつだって怪獣みたいだった。だからぼくは絵を描いた。
猫よりも強そうな恐竜を描いて、手を繋ぐ友達を描いた。おいしそうなパンを描いて 柿につぶされないカニを描いた。今日は何を描こう。それはいつの間にか当たり前のことになって、今もまだ描いている。
あんなに怖かった世界にむき出しで飛び出していった絵たちは、ぼくに友達を見つけてくれて愛を教えてくれた。
世界