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僕たちは、もっと「まっすぐな出版」を目指したい。だから、クラウドパブリッシング事業「TABIPPO出版(β)」を始めます

ライツ社の大塚です。前職時代も含め、これまで僕は、たくさんの旅の本をつくってきました。紀行文、写真集、ガイドブック、レシピ本、ビジネス書など、ジャンルはもはや越境して。

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たとえば、

・『僕が旅に出る理由』日本ドリームプロジェクト
・『ウユニ塩湖世界一の奇跡と呼ばれた絶景』TABIPPO
・『日本がヤバイではなく、世界がオモシロイから僕らは動く』太田英基
・『モバイルボヘミアン』本田直之/四角大輔
・『全196ヵ国おうちで作れる世界のレシピ』本山尚義
・『HEORES 』ヨシダナギ

大前提として、
旅人が教えてくれる世界はすごかった

これまで、たくさんの「旅人」と出会いました。

バックパッカーで世界を旅した大学生、世界中の起業家に会いにいったビジネスマン、「お金」をキーワードに世界を周った証券マン、世界一幸せな社会を求めて南の島フィジーへ、世界196ヵ国の料理を作れるようになったシェフ、美しい少数民族の姿を捉えにいった写真家、旅するように働くモバイルボヘミアン……。

旅人を通して、世界の景色を、ビジネスを、経済を、社会を、料理を、原風景を、働き方を、知れる。彼らが教えてくれる世界は、いつだって新しく、新鮮で、刺激的なものばかりでした。

「本を出したい」と言ってくれる
旅人がたくさんいた

しかし、実際に出版させてもらえたのは、ほんの一部です。ほかにも世界中の祭りを巡った人、ドローンを持って世界中を空撮した人……ユニークな経験を持っている人に出会いました。会社に直接企画を持ち込んでいただく方も本当にたくさんいましたが、そのほとんどを出版してこれずにいました。

もっと旅人が自由に本を出せたら、もっとたくさんの知らない世界を届けられるのにな……。初めて旅の本を編集した2012年から、ずっと考えてきました。そこで今回至ったのが、クラウドパブリッシング事業「TABIPPO出版(β)」です。

おもしろい企画だからこそニッチ
→商業出版できなかった

その理由はシンプルです。

おもしろい企画であればあるほど、ニッチなテーマになることがあります。一方で、どんな企画であろうと、商業出版として本を出すならば、定量的な基準は、どうしても高く設定する必要があります。

・最低でも初版4,000部は売れると判断できる(これでトントン)
・できれば重版して1万部は売れると判断できる(これで利益が出る)

この基準と照らし合わせた場合、本にする価値はすごくあるけど、商業的に厳しい、という課題が多くの場面であったのです。

そして、一昨年のこと。
僕たちは、この課題の解決の糸口となる企画に出会いました。

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商業出版として、おそらく日本で初めての
「クラウドパブリッシング」成功

ライツ社は、2017年に『世界196ヵ国おうちで作れる世界のレシピ』という本を、クラウドファンディングで資金を集め、出版しました。現在では、いわゆる「クラウドパブリッシング」と呼ばれる形です。

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この本は、初版4,000部からのスタートでしたが、クラウドパブリッシングの先行事例として朝日新聞で大きく取り上げられ、増刷を重ねました。ついには「料理レシピ本大賞 in Japan」にも入賞し、6刷2万8千部まで重版することができました。

クラウドパブリッシングの事例は、「自費出版」でこそ見かけましたが、「商業出版」として実績を残せたのは、本書が初めてのことだったのではないかと思います。

「時短」でも「かんたん」でもない
超ニッチなレシピ本が売れた理由

ここから学んだことは、世界196ヵ国の料理をまとめる、という一見どれだけニッチな企画であっても、クラウドファンディングの時点から出版社が関わり、仲間を募り、支援をいただき、一緒に作り、盛り上げていくことで、商業出版として全国の人に届けることは可能だ、という結果でした。

つまり、著者が持つ小さな熱に、編集者が、出版社がコツコツと薪をくべ続けることで、大きな火を燃やすことができるということ。まさに、CAMPFIREが描く思想と同じことができたのです。この経緯は、こちらのnoteにまとめています。

旅人が自由に本を出版できる
プラットフォームを作ろう

であれば、この事例をもっと仕組み化することはできないか? そこで相談を持ちかけたのが「TABIPPO」という会社でした。TABIPPOとは、「旅で世界を、もっと素敵に」を理念に「Travel Community Platform」として、様々な事業を展開している会社です。

■ ウェブメディア「TABIPPO.NET
■ 旅人のための就職・転職支援サービス「旅人採用
■ 年間200種類以上の旅に関わる講座を開催「旅大学
■ 旅に出たくなるモノづくりブランド「PAS-POL

TABIPPOとは前職時代からこれまで、『365日世界一周絶景の旅』『この世界で死ぬまでにしたいこと2000』など、一緒にたくさんのロングセラー本をつくってきました。

そして、さらにその先へ。ただ著者と出版社という関係ではなく、次世代の旅人が本を出せるプラットフォームに、僕たち自身がなれないか?

メディアとして大きな発信力を持ち、かつ旅人のコミュニティの中心である=「TABIPPO」と、旅の本を作るのが得意な出版社=「ライツ社」が組めば、旅人を支援できる仕組みが作れるはず。図にすると、こうです。

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3者が一体となって、本の企画 〜 クラウドファンディングの実施 〜 本の制作 〜 出版 〜 販促PRまで協力して行う。イメージした流れはこうでした。

・旅人がクラウドファンディングで費用を集める
・クラファン記事の作成をライツ社がフォロー
・クラファン記事のPRをTABIPPOがフォロー
・達成後、著者とライツ社で本を制作
・最初は少部数発行、ネット書店のみで販売
・TABIPPOのウェブやイベントと連動して販促PR
・売行好調であれば重版、ライツ社から全国書店へ

既存の自費出版の課題と
「こんな事業にはしたくない」という反面教師

出版不況、と言われてずいぶん経ちます。その原因のひとつは、シンプルに本の質が下がっていること。そして、質の低下の一因は、自費出版の乱立にある、とも言われています。

「自費出版」と検索すればすぐに出てきます。しかし、そのほとんどは理念を持たない、過剰に営利目的の過ぎるサービスばかりです。

数百万円のお金を著者からもらい、本にする。しかし、その多くのサービスには、本来、本の価値を担保する役目であるはずの編集者は不在、もらった文章を既存のフォーマットに流し込むだけ。「名刺がわりの本を」「あなたの本が書店に置かれます」という謳い文句のもと、質の低い本が市場に垂れ流され、読者の信用を損ねてきました。

……果たしてそれは、価値ある出版なのでしょうか? ぼくたちは、もっとまっすぐな出版を目指したい。

そこでたどり着いたのが、クラウドパブリッシングというプラットフォームでした。つまり、本当に読みたいと思ってくれる人がいる本を作り、届けるということ。そして、そこから波及していく仕掛けをつくること。

とはいえ、お金さえ集まれば何でもいいの?
答えは「そうじゃない」

実は「クラウドパブリッシング」のプラットフォームを提供するサービスはすでにあります。しかし、それらを見ていて、いち編集者として課題に思った点があるのも事実です。

それは、お金が集まったからといって、そのプラットフォームにいる編集者は本当に心から「作りたい」と思っているのかなあ? 価値ある本にするためには、その企画に対しての「編集者の向き不向き」はすごく重要なはずだけど、そこは考慮されているのかなあ? という疑問でした。

同じ著者でも、売れる本と売れない本があります。その違いの要因に編集者という役割は必ずあるはずです。であれば、そこを無視しては、「クラウドパブリッシング」は成り立たないのではないか? そう考えたのです。

そこで僕たちは、「クラウドパブリッシング」を旅の本に限定することにしました。

ライツ社がもっとも得意とするのは「旅の本」です。旅の本なら、紀行文であろうが写真集であろうが、ガイドブック、レシピ本、ビジネス書……どんなジャンルでも、おもしろい本が作れる。そして、作る過程も完成したあとも、PRに協力してくれる強力なパートナー、TABIPPOもいる。

この仕組みであれば、自信を持って、著者にも、出資してくれる人たちにも提案できる。

実際、出版するにはキャパシティの限界もあるため、年間1〜2冊しか作れないかもしれませんが、それもまた、質を保証する要因のひとつになります。

第1弾は、世界を2周した経験を持つ
喜多桜子(@hossakuraworld)さん

そして、今回、その(β版)となる第一弾の著者となってくれたのは、世界を2周した経験を持つ、喜多桜子さんです。

すでに先行してクラウドファンディングは始まっており、現在のこり10日で約80%のところまできています。準備を始めたのは半年前の5月のこと。そこから地道に活動を積み重ね、たくさんの支援をいただいてきました。

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もともと看護師だった桜子さんは、患者さんだった末期癌のおじいさんの、この一言がきっかけで世界一周の旅に出ました。

「わしはこれまで、当たり前のように終電まで働き、お金を稼ぐための人生を生きてきた。それが正しいと思っとった。でも、死を間近にし、大切なのは家族との時間だったと今更ながらに気づいたよ。わしは歳をとってからしか、こんな大事なことにも気づけんかったが、君はまだ若い。人生は一度きりだ。 自分にとっての幸せと、ゆっくり向き合きあって、後悔のない人生を歩みなさい」

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それから2周目は結婚した旦那さんと、計70か国200都市を旅してきました。その旅で出会ったのは、たくさんの「幸せの形」でした。

たとえば、ラオスを訪れたとき。

旅に出ている間、日本に来たことがある現地の外国人に必ず聞いた質問がありました。

「日本にずっといたいと思った?」
答えは決まって、「No」でした。

ラオスという国に行った時。田んぼと青空しかないような昔話みたいな村で1人の男の子がこんなことを言いました。

「ラオスは便利です」

ラオスは農業大国。自給自足ができる豊かな自然があるから便利。そういう意味。普通に見れば、日本が便利なのは明らか。でも、そういうことじゃないんだ。

世界中の「幸せの形」を一冊の本にまとめ、すこしでも多くの人にとって、「自分の幸せって本当は何なのか」考えるきっかけにしたい!と、今回TABIPPO出版の(β版)に挑戦してくれることになりました。

このプロジェクトの話をしたとき、桜子さんは、こう話してくれました。

350万円を支援いただく、ということが、どのぐらいハードルが高いのか全然イメージつきませんが……ライツ社とTABIPPOとやれる!というのが何より嬉しいですし、挑戦したいなって思いました。

わたしはずっと、本を通して「人の人生」を読み、自分の人生が変わるきっかけをもらってきました。

・看護師になったのは、マザーテレサの伝記に感銘を受けたから
・世界一周という言葉を知ったのは高橋歩さんの本から
・旅するように生きたいと思ったのは「モバイルボヘミアン」を読んだから

わたしには、この本を通して伝えたいことがあります。

世界を二周して、いろんな国の人々と出会い、それぞれの価値観、そしてたくさんの幸せの形を目にしました。それがなければ、今のわたしは自信を持って、「わたしは幸せだ」と言い切れなかったでしょう。

いつだって自分の人生に一歩踏み出すきっかけを与えてくれてたのが本でした。もし、かつてのわたしと同じように幸せが何かわからなくなっている人がいて、わたしの旅の経験が役に立つのなら、それは今までわたしを支え続けてくれた本に対する恩返しにもなると思っています。

絶対成功させれるように、全力で頑張るので、どうぞ今後ともよろしくお願いします!

もっと「まっすぐな出版」を目指して

今回の挑戦は、「自分の体験を本にしたい旅人」×「旅の本を得意とする出版社」×「旅人のコミュニティを持つウェブメディア」という新しい出版体制の先駆け(β版)となるプロジェクトです。

このプロジェクトを皮切りに、たくさんの旅人が自由に本を出版できる仕組みをつくっていきたい。そしてその先にあるのは、読みたい人に読みたい本を届けることができる、もっと「まっすぐな出版」だと思っています。

共感いただいた方は、ぜひ応援いただけますと幸いです。ライツ社は、出版社は、「熱」を持つ人を、いつもそばで支えられる存在でありたいと思います。


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ライツ社
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