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「絵本のくつした」「つかめる水」ヒット連発!雑貨のプロが「書店の未来はまだ明るい」と思うわけ

本屋さんで、「はらぺこあおむし」や「ノンタン」などの絵本を題材にした「くつした」や「つみき」を見たことありませんか? あの、書店にたくさん置かれている絵本グッズを企画している会社があります。そしてその会社はなんと、あの大ヒット商品「つかめる水」を企画した会社でもあります。

名前は「ライブエンタープライズ」さん。
 
取材してみると、意外な歴史や書店に対する熱い思いが見えてきました。
本+グッズの売り場提案で書店の売上を大幅アップさせていたり、書店とつなぐことで孤立しがちなママが活躍できる場を創り出していたり。雑貨のプロなのに、なぜ書店でそんな活動を? 

プロフィール
大木秀典
株式会社ライブエンタープライズ 営業本部 部長。社歴16年目。えほんやさん事業、量販卸事業、ライセンス事業を兼務。設計デザイン職から自営で店舗マネジメント業を経て、今の流通営業へ転身し全く異なる業界を経験。仕事は人と人がつなぐものと、どの業界でも共通し大切な事だと感じてきた。現在は「心躍る書店」の理想を妄想しながら日々の業務に取り組む。

石井琢磨
株式会社ライブエンタープライズ 企画部 主任。商品企画、ライセンス事業などを担当。多くの人に「ほしい!」と思ってもらえるような商品を日々研究中。

高橋秀二
北海道帯広市出身。2004年株式会社講談社入社。広告営業8年、書店営業4年を経て、現職の動画事業部へ異動。「ボンボンTV」「ボンボンアカデミー」「フル☆アニメTV」などのチャンネル運営業務と関連事業に従事し現在現職9年目。


もともと石を売っていました

―:
HPを拝見したのですが、もともとは天然石の卸会社だったんですね。

大木さん:
ばれちゃいましたか(笑)いまでこそ絵本キャラクターのグッズをつくったり雑貨の企画開発をしていますが、2005年に天然石の輸入会社として創業したというのが会社の沿革ではあります。

―:
ここからどうやって書店やママたちの活動に行き着くのか。

大木さん:
天然石って、そのまんまで売ってると、なんの石だかわからない。玄人向けじゃないですか。

ー:
石に詳しくないと買わないですね。子どものときは好きだったけど。

大木さん:
そうなんです。子どもたちってほんとうに石が好きで、みなさんも経験あるかもしれないですけど、 観光地なんかに行くとキラキラした石がいっぱい入った石すくいみたいなのが、ありますよね。

ー:
ありますあります。

大木さん:
でもけっきょくなんの石かはわからない。その子どものシンプルな「これってなんの石?」っていう知的好奇心に応えるものがあってもいいんじゃないか。そんな考えが社内にあったんですね。

ー:
そのころからお子さんのほうには向いていたんですね。

大木さん:
そうですね、きれいに言うとそういうことですし、経営的に言うと市場開拓として流通の広いプロダクト、いわば売りやすい商材をつくることも背景にはありました。

―:
なるほど。

大木さん:
いろんな石に名前をつける商品っていうので、2010年「世界の石コレクション」が発売されたんですね。これはいまでもうちの定番商品ですが、いまでは100万個をゆうに超えるロングセラー商品です。

世界で産出される20種の鉱物をセットにした「世界の石コレクション」

ー:
すごい。ちなみにこれは最初から書店さんで販売されていたんですか。

大木さん:
書店もですし、観光地などの石屋さんもですし。扱ってくれるところはどこでもという感じでした。ここから、「子どもたち」に向けた企画という流れが生まれて。

体験を手軽に、を実現した「触れる図鑑」シリーズ

ー:
「世界の石コレクション」をきっかけに、「触れる図鑑」シリーズを発売されていて、これはどういったところに着目したんですか?

本物の鉱石が出てくる「宝石発掘」
こちらも本物の化石が出てくる「化石発掘」

大木さん:
この会社に入ったときに、わたしも実は石になんにも興味がなかったんです。だけど、ふだん見ることのないようなものが会社にゴロゴロ転がってるんですね。天然石しかり、化石とかが転がってまして。

ー:
オフィスに化石はインパクトありますね(笑)

大木さん:
当時は高田馬場に会社があって、高田馬場にこんなのがあるんだっていう、ギャップがすごくてですね。

ー:
なるほど。

大木さん:
大人の、興味のないわたしでさえおもしろく感じたと。博物館ではそれを実際に触るイベントが開催されているんですね。親子でいろんな体験をするという。

そうした未知なるものを知りたいこどもの知的好奇心に対して、1つのパッケージとしてもっと手軽に体験を提供できないか、と思ったんですね。

―:
なるほど。

大木さん:
化石、原石、隕石とかもやりました。あと琥珀。化石と原石はいまでも継続して、もう15年、ほんとうに長く続いてますね。

発売1週間で在庫が消えた「つかめる水」

化学反応を利用して遊ぶことができる「つかめる水」

ー:
ターニングポイントといいますか、次に発売した「つかめる水」がかなりヒットされたと。

大木さん:
これはちょっと異常値を記録しまして。2015年6月に市場投入したんですが、1週間で店頭から「在庫がない」とか、「どこで買えますか」という問い合わせが直接お客さんから来るようになりました。

―:
1週間で。

大木さん:
はい。「なんだこれは」って社内がざわついたんですね。例年1アイテム1万個売れればいいんですけど、この商品は初年度で10万個つくったかな。いま100万個は超えてます。

ー:
すごい(笑)ちなみに、その当時は何人体制でやられていたんですか?

大木さん:
営業は、わたしともう1人。このプロダクトの事業部のチームとしては、実質4人ぐらいしかいなかったんじゃないですかね。

ー:
このヒットから、なにかが変わった?

大木さん:
そうですね、「つかめる水」を出したときって、エンドユーザーさんと直接つながれないかみたいな話をし出した時期だったんですよ。で、「つかめる水」を買ってくださったのがママさんだったんですね。

ー:
お母さんたち。

大木さん:
はい。子ども会とか学校の行事とか、子どもたちが集まる場に関わっている方。1人のママさんが東急ハンズさんで30個くださいとか、そういう売れ方だったんです。

ー:
なんだこれは、ってなりますね。

大木さん:
そのママさんたちにたまたまお話聞ける機会があって。みなさんおっしゃるキーワードが「安心安全」だったんです。これだったら子どもだけでも楽しめる、と。

ー:
なるほど。親からすると助かりますよね。

大木さん:
ちゃんと学びにもなるし、子どもが自分から楽しめる。「やらされ感」がないんですね。

「親子の時間研究所」立ち上げ

大木さん:
そういった流れでママさんとつながって、もっともっとママの意見を聞いてみようみたいなことが始まったのがその頃です。

ー:
ああ、それが「親子の時間研究所」なんですね。

※「親子の時間研究所」は「子育てをもっとおもしろくする」をテーマに掲げたブランドでありコミュニティ。商品の企画開発やママサポーター活動を行っている。

ー:
その声を元に企画された商品ってあったんですか?

大木さん:
もちろんありました。

スマホを利用したプロジェクターで絵本のよみきかせができる「おそらの絵本」

大木さん:
おうちの寝室が絵本シアターになるっていうコンセプトなんですけど。この時期に「書店」というマーケットをよく見てたんです。

ー:
ここで初めて「絵本」が出てくる。

大木さん:
そうなんです。子どもたちを相手に商売をはじめたとはいえ、それまでの対象は、小学生のお子さんまでだったんですよね。

ー:
たしかにそうですね。

大木さん:
ベビーや未就学児のお子さんによろこんでもらえそうなものってなにがあるんだろう。そんなことを考えていたときに書店をぶらぶらしてたんですけども。当時『おやすみロジャー』っていう、その後うちでも商品化させてもらった絵本があったんです。

―:
すごいヒットでしたね。ミリオンヒット。

大木さん:
あれが当時、絵本なのに、ぼくが見たときで発行部数が70万部だったかな。さすがに目にもとまって。「寝かしつけ」ってキーワードにそのとき気づいたんですよね。

ー:
なるほど。

大木さん:
寝かしつけがママのストレスになってるっていうことを知った。でも絵本って、明るいところでしか読めない。

―:
はい。

大木さん:
じゃあYouTube見せたらいいのかっていうと、そうじゃない。「寝るときまで手抜きしてる」みたいに、ママ自身が思ってしまうと。

ー:
罪悪感というか。

大木さん:
はい。この声はけっこうポイントで。そういう気づきや声やキーワードの足し算が「おそらの絵本」でした。寝る前に、暗くした部屋でも、ストレスなく絵本を読み聞かせしているような時間が過ごせる。

1万5000人のママコミュニティ

大木さん:
ママさんたちと触れ合う機会が増えてわかったことがありまして。とくにはじめてのお子さんのときって、社会と断絶されていると感じるママさんが多かったんですよ。

ー:
なるほど。

大木さん:
子どもってよく熱を出したりして、いつでも子どもの元に帰れなきゃいけないから、働く環境が限られてきますよね。

ー:
そうですよね。

大木さん:
そういうママさんが、いつでも帰れて、社会とのつながりがつくれて、自由な子育ての選択が取れるというフィールドがあったらいいんだろうな、と。

ー:
はい。

大木さん:
やっぱり絵本が好きなママさん、多かったんですね。じゃあ、書店とのつながりをつくるっていうのは、わたしたちにできるんじゃないか。

というのも、当時、わたしたちは全国の書店の一角に「えほんやさんMOE」という絵本キャラクターグッズコーナーを立ち上げさせてもらう真っ最中だったんです。

でも、立ち上げさせてもらうことはできても、そのコーナー1つひとつを丁寧に、より良くしていくにはマンパワーが足りない。そこで、そのコーナーのメンテナンスをママさんたちにしてもらう枠組みを用意してみたところ、反響が非常に良くてですね。

ー:
それはどこからの反響ですか。

大木さん:
「親子の時間研究所」の公式LINE。当時4000人ぐらいで、いまは、1万5000人ほどいます。

ー:
すごい数ですね。

ー:
ケタがすごい。ちょっと、どうしてそんな人数が集まってるんですか。

大木さん:
「親子の時間研究所」を立ち上げときから、とにかくエンドユーザーとつながろうと意識していたので。 プロダクトの中のチラシでLINE登録をうながしたり、書店さんでイベントもやらせてもらったときに案内したり。

ー:
それでそんな人数が集まるんですか。

大木さん:
もう7年、8年、経ってますからね。

ー:
そっか、地道に。

大木さん:
商品を買って、つながって、いまではママサポーターになってるっていう方が多いんですよ。はじめはいちファンだったのに、いまではぼくらの事業をフォローしてもらってる感じですね。いまでは、えほんやさんの書店売場フォロワーのママさんは、現在約150人程おり、ともに書店を盛り上げる応援活動をしていただいてます。

―:
すごい。

大木さん:
グッズの売り場って、どうしてもお子さんが触れる機会が多いので、荒れやすいんですよ。でも売り場のメンテナンスといっても、北海道から沖縄まであって。わたしたちが行こうとすると3ヶ月に1回ぐらい。でもその地域のママさんだとね、毎月行くことができるので。

ー:
すごい力ですね。

大木さん:
もう超超すごい力です。

あと、「絵本のくつした」を発売したときに、 その靴下のママモデルを募集して、数名にお願いして。スタジオ借りて、撮影会を開催したんです。ママがモデル体験してる姿を、子どもも見るのがうれしいらしくて。

ー:
なるほど。お母さんが活躍してる姿。

大木さん:
そういう場も結果的につくれてるんだなっていうのが、ママサポーターのよさなのかなと思ってはいます。

「絵本のくつした」が100万足販売

ー:
ぼくもよく見かけるんですが、書店内で絵本キャラクターグッズをあつかう「えほんやさんMOE」。これは何店舗ぐらいの展開なんですか?

大木さん:
いま1300店舗ぐらいです。

ー:
2019年に「えほんやさんMOE」をスタートされて、2024年で約1300店舗。このスピード感ってどういう。

大木さん:
最初の1年は100店舗もなくて、まず法人口座を開くことから始めました。

ー:
はい。

大木さん:
紀伊國屋書店さんや丸善さんの本社に伺ってたんですよ。そこのマネージャーさんや店長さんが、自分の管轄の店舗に入れてくれるんですよね。そうしたら「うん、売れる。じゃあ、こっちの店舗もやろう」という感じで。

ー:
それだけ売上が上がったってことなんですよね。うちの娘も履いてますが「絵本のくつした」シリーズは累計100万足販売。

大木さん:
そうですね。調べたら超えてましたね。


ー:
たとえば「えほんやさんMOE」 を導入して、どれだけ売上が上がったとかってあるんですか? すごいとこだとこれぐらい、みたいな。

大木さん:
すごい店舗さんだと、毎月何十万円売れているそうです。ちょっと嘘っぽいと思います(笑)

ー:
すごい売れてますね!

ー:
書店さんの反応ってどんな感じでしたでしょうか。

大木さん:
グッズだけでなく、「えほんやさんMOE」を入れたことによって絵本が売れるようになったって声をいただいたり、リアルにデータが出てきたりとか。

ー:
えー、すごいな。

大木さん:
なんで、なるべくわたしたちはグッズだけじゃなくて、基本的には書籍と一緒に売ることを提案しながらやっています。

ー:
そうなんですね。

大木さん:
絵本が売れないとグッズも売れないですし、なによりお客さんにとってそれが一番で、書店さんにとっても一番なんで、 多少でも絵本の出版に貢献できればなと思って、そういう取り組みをさせてもらっています。

「ものづくり」だけでなく「売り場づくり」までが商売

―:
「えほんやさんMOE」をはじめたきっかけってどんなところだったんでしょうか?

大木さん:
「おそらの絵本」や「絵本のつみき」を販売したころから、絵本作家さんとも関わっていくことになるんですが、みなさん「思いのこもった商品を長く売ってほしい」っていうことを言われるんですね。

―:
なるほど。

大木さん:
開発に2年も3年もかけて、3ヶ月ほど店頭に出されて店頭在庫がなくなったらおしまい、みたいなことも実際にあるんです。ほんとうに悲しいんですね。

―:
そうですね。

大木さん:
でも業界的には売り場に長くは置いてもらえない。なので自分たちでちゃんとその場をつくるというか。それができれば少しは解消するのかなと。

同時に、書店さんからも絵本とグッズの売り場管理まで手が回らないという声もいただいていたんですね。

ぼくたちは小売店の売り場づくりも含めて提案してきた会社なんですよ。商品だけじゃなくて、どう見せるか。什器、POPなどを使って、お客さんが気になる売り場づくりまでするっていうのが、ぼくらの商売の仕方のモットーなんです。

ー:
それで「えほんやさんMOE」として売り場ごと提案しているんですね。

大木さん:
あとは商品そのものを売れるようにしなきゃいけない。このあたりはいまだに理想のデザインになるように戦ってますけどね。ここにいる石井なんか苦労してますけど。
 
―:
たとえばどんな苦労があるんですか?

石井さん:
絵本の世界観や色のこだわりなど、いろいろあるんですが、必ずしもその通りにグッズ化して売れるかというと、そうではない場合もあって。お客さんの絵本を見る目とグッズを見る目は違う部分も多いんですね。

―:
なるほど。

石井さん:
もちろん大切なIP(知的財産)をお借りしているので、基本は忠実にさせていただくんですが、たとえば水彩の絵を靴下にするには無理があったり、かなり調整を重ねてグッズのデザインをしています。

ー:
ありがとうございます。「えほんやさんMOE」は、白泉社さんが発行している絵本の専門誌「MOE」との協業なんですよね。

大木さん:
はい。

ー:
これはなにかお互いのニーズが合致したっていうところがあるんでしょうか。

大木さん:
ぼくたちは商品を売っていくプロセスは得意なんですけど、本屋さんにお客さんを呼ぶプロモーション力は、いまでもそんなにないんです。

ー:
書店に人を呼ぶ。

大木さん:
なので、せっかくといい本とグッズの売り場ができたってときに、知ってもらう必要がある。そこで外との接触を持っている企業さんと、よりお近づきになれないかとつねに考えていて。「えほんやさんMOE」としてプロモーションのところで協力していただいます。

書店の未来を明るくする

ー:
ライブエンタープライズさんが「書店の未来を明るくする」というテーマを掲げているとお聞きして、「そうなんだ!」とうれしくなったんですが。

大木さん:
みなさんご存じのとおり、書店自体の数がいま、減ってきている。だけども、うちの会社の経営側には本が好きな人間がいて、わたし自身も本好きなんです。本屋さんがなくなるっていうことに、会社的にも個人的にも危機感を持っていて。

書店さんって、いろんな小売を見てきた中でも非常に価値が高いと思ってるんです。 本って絶対必要なものだと思ってるんですね。お客さんの意識も、学びに来る場だったり、発見を求めに来る場だったりしていて。そこに別の角度でこれからの時代の新しい書店像をつくっていけば、生き残れるんじゃないかなっていうのがわたしたちの考えなんですね。

ー:
別の角度というと。

大木さん:
書店さん自体が、本といういろんなコンテンツを持ってるので、それを広義にとらえて、紙面の中だけじゃなくて、もう少しリアル体験できるフィールドをつくってもいいかなと思ってるんです。

―:
なるほど。

大木さん:
だから、書店の未来はまだ明るいと思っていて。ただ、思っていてもそうならないので、やれることで書店の未来を明るくしようと、会社の1つの大義として今期から掲げ、そこに対して動こうと決めました。

ー:
すごいですね。会社としての方針っていうのは。

大木さん:
やれることがまだいっぱいあると思ってるので。異業種とのコラボなんかもそうです。

「足りない部分」は、補い合っていけばいい

ー:
異業種とのコラボをチャレンジ中ということで、講談社さんの「ボンボンアカデミー」とコラボフェアが、ちょうど開催中なんですよね。

ボンボンアカデミー
チャンネル登録者数96万人。動画総再生回数20億回を超えるYouTube公式チャンネル。歌やダンスが大好きな、いっちーとなるの2人で幼稚園や保育園での人気曲、日本の唱歌、手あそび歌、英語の歌、ダンスやたいそう動画などを数多く配信中。https://bom-bom-academy.com/

大木さん:
いま書店さんで展開中ですね。

―:
そのコラボを担当されている、講談社の高橋さんにもお話をお聞きしたいです。

高橋さん:
わたし自身、もともと2012年から2015年まで、講談社の中で書店営業の部門にいまして、さまざまな書店さんとお付き合いさせていただいていました。そこから動画事業部という、ちょっと風変わりなところに異動してきました。

※動画事業部とは
小中学生の若年層が紙メディアに接ししにくくなっている中、出版社のIPを動画を通して子どもたちに届けるべく立ち上がった事業部。前身となるYouTubeチャンネル「ボンボンTV」(チャンネル登録者数257万人)のほか、「ボンボンアカデミー」「フル☆アニメTV」をはじめとする動画チャンネルの運営に携わる。

ー:
そうだったんですね。

高橋さん:
で、昨年「ボンボンアカデミー」から絵本を出版したんです。 なぜ絵本かというと、動画でよく見られているものって、超ロングテールなんですよ。「ひげじいさん」といった定番の歌や手遊びがよく見られていて。何度も繰り返し見たいんでしょうね。

ボンボンアカデミー うたえほんシリーズ

―:
たしかに、「もう一回!」っていって見てますね、子どもたち。

高橋さん:
であれば、それを絵本という形にしたら、お母さんと子どもたちの触れ合いの時間をより充実させるものにできるんじゃないか、という経緯で。

―:
そうでしたか。

高橋さん:
先ほどママのコミュニティの話がありましたが、「ボンボンアカデミー」で言うと、もちろんママさんたちもなんですけど、加えて、保育士さんや教育関係の方からの知名度がものすごく高いんですね。

ー:
なるほど。

高橋さん:
ただ正直なところ、売り場での知名度はまだまだ低かったなっていうのが課題でした。

ー:
それは意外でした。

高橋さん:
そこで今回、コラボで一緒にキャンペーンをやっていくことで、 児童書売り場で「ボンボンアカデミー」の商品の価値を見い出していただけるようにしていきたいと思っています。

ー:
ライブエンタープライズさんとしては。このコラボはどうとらえていたんですか?

大木さん:
ぼくらは、書店さんへの送客って大きな課題だなと思ってるんですね。それに対して「ボンボンアカデミー」さんのYouTubeコンテンツは非常に魅力的だなと。かわりにぼくらがつくれるメリットが、リアルなタッチポイントなので、そこが必要だと仰っていただけるのであれば、と話が進みました。

ー:
パズルがはまるような感じですね。コラボグッズはどういうふうにつくっていくんですか?。

石井さん:
わたしの方でデザインさせていただいたのですが、 「ボンボンアカデミー」さんの動画、かなり拝見しまして。実はうち、妻が保育士なんで、家のでかい画面にYouTubeを流して、ダンスの練習をやってたりするんですけど。

ー:
奥様が、そうなんですね。

石井さん:
まず、商品の選定に関しては「親子でおそろい」がテーマなっています。

ー:
ほんとだ、靴下もサイズ展開されてますね。

石井さん:
ほかの「絵本のくつした」シリーズも、かならず親子でおそろいになるように、同じ柄でやることにしているので、靴下は外せませんでした。

石井さん:
もう1つが絵本のワッペンですね。こちらがワッペンステッカーみたいになっていて、いろんなとこに貼りつけて出かけられるようにしています。

―:
服にも貼れるんですね。

石井さん:
お子さんたちが保育園とか幼稚園に行くときに自分の持ち物に貼ってもらえるようにしています。自分の目印になるし、ここからなにか会話が生まれたらうれしいなということも考えてつくりました。

ー:
この展開が書店でされているんですよね。

石井さん:
約120店舗ぐらいで、導入していただいています。「ボンボンアカデミー」さんも動画で告知をしてくださって、人を呼び込んでくださって、書店さんでの商品の反応もいいですね。

ー:
足りない部分を補い合うコラボ。

石井さん:
ネット媒体中心の方とのコラボははじめてだったのですが、たとえば「ここの店舗で開催してるよ」というような、詳細な投稿もしてくださっているので、書店さんからもうれしいという声をいただいています。

ー:
今後の展開はなにかあるんでしょうか。

石井さん:
書店でのイベントを開催するなど、より認知をしてもらえることも検討しています。書店もうれしいし、「ボンボンアカデミー」さんもうれしいし、わたしたちもグッズをつくったり売れるっていう、3社いい関係を検討していきたいなと思っています。

ー:
コラボでより売り場が盛り上がりそうですね。本日はありがとうございました。

みなさん:
ありがとうございました!


書店っていろんな人が関わっていける場なんだな、と取材をして気がつきました。絵本が軸となって、雑貨が生まれ、そこに人が来て、ママも活躍できる。すばらしい!

今回のボンボンアカデミーコラボの開催店舗は以下のページからご確認できます。ぜひ実店舗におこしください!


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ライツ社
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