マガジンのカバー画像

明るい出版業界紙

84
誰でも読める出版業界紙です。出版業界のおもしろい取り組みやインタビューを中心にアップしていきます。本に関わる方はもちろん、業界以外の方に広く親しんでもらえたら嬉しいです。リリース…
運営しているクリエイター

記事一覧

固定された記事

明るい「出版業界紙」をnoteで始めます

少し前に、ライツ社の営業がこんなことを言っていました。 なんでニュースには、出版業界の悪い話しか出ないんだろう?  「出版不況」「書店倒産」「物流危機」etc...。 こんなニュースばっかり見てると、なんだか「本は終わった」みたいに感じてくる。ぼくは、書店が好きなのに。本が大好きなのに。明るいニュースだっていっぱいあるのに。 そう思ってる人はきっと、たくさんいるはず。 このままじゃ、本をつくりたいとか、書店で働きたいとか、そもそも本を読みたい、本に関わりたい、という

「あなたの渾身のフェアを教えてください」日本一の書店員を決めるチャンピオンシップが誕生!エントリー受付中!

11月1日(金)より、全国の書店員がフェアの腕で日本一を競い合う「Book Fair Championship」(以下、BFC)のエントリー受付が始まりました。 ライツ社もこの企画に実行委員として参加しています。最初に発起人の北田博充さん(梅田 蔦屋書店店長、書肆汽水域)からご相談いただいたとき、企画のおもしろさはもちろんのこと、「書店で働く人々を元気にしたい」というBFCの思いに共感しました。そしていま、その活動を一緒に盛り上げたいという気持ちだけでお手伝いさせていただい

早期退職で58歳からの書店人生。いまになってわかる「生きがい」とは

昨年、「リトル書房」という兵庫県西宮市にある本屋さんが閉店しました。あの「甲子園球場」から10分ほど歩いた住宅街にある10坪ぐらいの小さなお店です。 閉店時にごあいさつにうかがうと、店主の後中さんは「本屋さんを開業して街の人になれました」と語ってくれました。 閉店自体はさみしいですが「街の人になれた」という7年間はとても豊かなことだったのでは。それを裏付けるように、元同僚のみなさんからはとてもうらやましがられたといいます。改めて後中さんに話を聞いてみました。 早期退職の

舞台に立つのは作家たち。66年ぶりの大阪公演「なにげに文士劇」

「なにげに文士劇2024」の旗揚げ公演が、2024年11月16日(土)大阪市のサンケイホールブリーゼで開催されます。 ライツ社のことをいつも応援してくださっている紀伊國屋書店梅田本店の百々典孝さんがこの舞台に出演され、半世紀書店員の井上哲也さんも応援団のおひとりであることを知り、ライツ社もこの舞台を盛り上げたいと思いました。なにより一流作家が集まって舞台に立つ文士劇っておもしろい! そこで今回は本番前の台本の読み合わせに潜入、そのレポートをお届けします。 原作は東野圭吾デ

すこぶる好調な英治出版がカヤックに買収されたほんとうの理由

2月、面白法人カヤックが英治出版を子会社化することが発表されました。 IT企業による出版社買収のニュースに「出版不況だしな」と思った方もいるのでは。しかし、聞けば英治出版の業績はすこぶる好調とのこと。それもそのはずで、『イシューからはじめよ』『ティール組織』『解像度を上げる』などベストセラーは数知れず。では、今回の買収の意味って? わたしたちはこのニュースをポジティブにとらえ、英治出版に取材を申し込みました。見えてきたのは、出版社が忘れていた自分たちの価値でした。 第1

出した答えは「子ども扱いしない」。子どもの活字離れに対して、ショッピングモールの中にある未来屋書店が考えたこと

この夏、全国の未来屋書店さんで「未来屋ビブリ王決定戦!」というフェアが開催されています。 子どもたちが自分の大好きな本の「推しコメント」を応募、選考を勝ち抜いた「チャンプ本(ビブリ王)」を発表する、この夏スタートの新しい試み。 先日、未来屋書店さんから「放課後ミステリクラブの作者、知念実希人さんに、その審査員長になってほしい!」という申し出をいただきました。その打ち合わせで未来屋書店さんのプレゼン資料を拝見したところ、子どもたちに対する姿勢が本気だったことに感動。逆にライ

広島の「書店が一度なくなったまち」に生まれた本屋に過疎地域の希望があった

5月。広島県庄原市という山間のまちに、書店『ほなび』がオープンしました。手がけるのは、人口6600人(2024年)の田舎町で本屋『ウィー東城』を経営する佐藤友則さん。 ウィー東城といえば、美容室やコインランドリーを併設するなど、「複合化」の先頭を走ってきたお店。あの佐藤さんが「本で勝負する」新店をオープンしたとあって、注目が集まっています。 『ほなび』について佐藤さんは、「町がもう一度元気になっていく、きっかけの本屋になればいい」「これは日本の再生だと思ったんです」と語り

こんな営業聞いたことなかった。異色のレシピ本6万部ヒットの舞台裏「つり人社」

お魚料理本のベストセラー『一生幸せになれる料理147 お魚イラストレシピ大百科』という本をご存知ですか? 全編にわたってイキイキとした魚の手書きイラストが描かれた異色のレシピ本で、6万部を突破しているのですが、売れている場所は本屋さんだけではありません。 発行元は長年、釣りの本一筋でやってきた「つり人社」さん。なぜそんな出版社がレシピ本? しかも営業の仕方もほかに聞いたことがないお話でした。舞台裏を営業部長の渡辺さんにお聞きします。 営業のベースは釣り具店ー:つり人社さん

本の「使われ方」の可能性。銀行職員の1通のハガキから始まった

先日、三井住友信託銀行の支店のロビーで、ライツ社刊『認知症世界の歩き方』の巡回パネル展が行われました。 展示に至ったきっかけは1通のアンケートハガキ。『認知症世界の歩き方』を読んだ銀行職員さんが「認知症への理解を深める活動をしたい」と書いて送ってくれたことから始まりました。 地域の困りごとに本が役立てるならと、ふたつ返事でご協力させてもらい、展示が実現しました。 実際にアンケートハガキを送ってくれた石原さん、一緒に展示を担当してくれた上司の山田さんにお話をうかがうと、銀

本のカテゴリでおもちゃの棚を再構築したらすごいお店になった話 「こどもto」@大阪

4月17日、ららぽーと門真(大阪)にオープンした「MIZUSHIMA Select Books & Select Goods + こどもto」。 「こどもto」とは、大阪水嶋書房の新業態で、こどもの好奇心を刺激し、遊びながら学べるサイエンスや知育のグッズを扱うお店のこと。 おもちゃコーナーが併設してるだけ? いえいえ、大人がみてもワクワクして遊びたくなってしまうものがたくさんあるんです。 しかも、すべてが本のカテゴリで分けられているので、一度ハマればその分野にどこまでも

「心が動く文章の書き方は?」中学生が小説家に取材。どんなこたえが?

河野裕さんは明石にゆかりのある小説家。2021年に発表された『君の名前の横顔』も明石を舞台に書かれた作品です。河野さんに取材をお願いすると、こころよくオッケーのお返事をいただきました。 質問を中学生たちと相談した結果、みんな本は好きだけど文章を書くことには苦手意識があるみたい。そこで、プロの小説家に「どうやったら文章を書けるようになるのか?」を相談。学校では教えてくれないような回答が返ってきました。 心が動く文章の書き方Mさん:わたしは、人の心を動かしたり、感動させられる

本はどうやったら売れるのか? 出版営業が語る「100万部のつくり方」

出版社の花形といえば編集。 でも、出版社には「営業」という仕事があります。 そして、有名な編集者ほど、転職する際には「その出版社に良い営業がいるかどうか」を基準にするという話も聞きます。そんな出版営業の役割とは? 今回は100万部突破のベストセラー『人は話し方が9割』を生んだ、「すばる舎」の営業部・副部長、原口大輔さんと「ライツ社」の代表取締役・営業責任者、高野の対談の模様をお伝えします。場所は大阪の「まちライブラリー もりのみやキューズモール」。イベント開催時の概要はこ

ひとりずつ、どの本を届けるか選んでいます「ブックサンタ」の舞台裏

この記事は2022年に公開されたものですが、ブックサンタは今年も実施中です!参加方法は変わりませんので、ぜひご参加ください。締め切りは12月24日のクリスマスイブまで。  昨年ライツ社も参加させてもらった「ブックサンタ」。 書店やオンラインで寄付した本はそのあと、どんな旅をして子どもたちのもとに届いているんでしょう。 運営団体の「チャリティーサンタ」は全国に42の支部があり、本部に届いた本が各支部に振りわけられ、そこからご家庭に届けられています。 今回はチャリティーサ

奈良のコンビニに書店の棚がやってきたら、意外な出会いが生まれた話

「書店のいい感じにセレクトされた棚が近くのコンビニにあったら便利なのにな……」。そんな希望を満たすお店が奈良にありました。 月替わりの選書や地元のお客さんおすすめの本が並んだ本棚。こんなコンビニの本棚見たことない。 奈良のコンビニオーナー楢原さんがはじめたのは、「店内の本棚のセレクトを地元の書店と協力して選書する」というもの。コンビニはいまや地域に密着した商店。街の書店が減り、空白地帯が増えていくなか、街の本屋さんとの新しい関係っておもしろい! ということでお話しを聞い