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明るい出版業界紙

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誰でも読める出版業界紙です。出版業界のおもしろい取り組みやインタビューを中心にアップしていきます。本に関わる方はもちろん、業界以外の方に広く親しんでもらえたら嬉しいです。リリース… もっと読む
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明るい「出版業界紙」をnoteで始めます

少し前に、ライツ社の営業がこんなことを言っていました。 なんでニュースには、出版業界の悪い話しか出ないんだろう?  「出版不況」「書店倒産」「物流危機」etc...。 こんなニュースばっかり見てると、なんだか「本は終わった」みたいに感じてくる。ぼくは、書店が好きなのに。本が大好きなのに。明るいニュースだっていっぱいあるのに。 そう思ってる人はきっと、たくさんいるはず。 このままじゃ、本をつくりたいとか、書店で働きたいとか、そもそも本を読みたい、本に関わりたい、という

こんな営業聞いたことなかった。異色のレシピ本6万部ヒットの舞台裏「つり人社」

お魚料理本のベストセラー『一生幸せになれる料理147 お魚イラストレシピ大百科』という本をご存知ですか? 全編にわたってイキイキとした魚の手書きイラストが描かれた異色のレシピ本で、6万部を突破しているのですが、売れている場所は本屋さんだけではありません。 発行元は長年、釣りの本一筋でやってきた「つり人社」さん。なぜそんな出版社がレシピ本? しかも営業の仕方もほかに聞いたことがないお話でした。舞台裏を営業部長の渡辺さんにお聞きします。 営業のベースは釣り具店ー:つり人社さん

本の「使われ方」の可能性。銀行職員の1通のハガキから始まった

先日、三井住友信託銀行の支店のロビーで、ライツ社刊『認知症世界の歩き方』の巡回パネル展が行われました。 展示に至ったきっかけは1通のアンケートハガキ。『認知症世界の歩き方』を読んだ銀行職員さんが「認知症への理解を深める活動をしたい」と書いて送ってくれたことから始まりました。 地域の困りごとに本が役立てるならと、ふたつ返事でご協力させてもらい、展示が実現しました。 実際にアンケートハガキを送ってくれた石原さん、一緒に展示を担当してくれた上司の山田さんにお話をうかがうと、銀

本のカテゴリでおもちゃの棚を再構築したらすごいお店になった話 「こどもto」@大阪

4月17日、ららぽーと門真(大阪)にオープンした「MIZUSHIMA Select Books & Select Goods + こどもto」。 「こどもto」とは、大阪水嶋書房の新業態で、こどもの好奇心を刺激し、遊びながら学べるサイエンスや知育のグッズを扱うお店のこと。 おもちゃコーナーが併設してるだけ? いえいえ、大人がみてもワクワクして遊びたくなってしまうものがたくさんあるんです。 しかも、すべてが本のカテゴリで分けられているので、一度ハマればその分野にどこまでも

「心が動く文章の書き方は?」中学生が小説家に取材。どんなこたえが?

河野裕さんは明石にゆかりのある小説家。2021年に発表された『君の名前の横顔』も明石を舞台に書かれた作品です。河野さんに取材をお願いすると、こころよくオッケーのお返事をいただきました。 質問を中学生たちと相談した結果、みんな本は好きだけど文章を書くことには苦手意識があるみたい。そこで、プロの小説家に「どうやったら文章を書けるようになるのか?」を相談。学校では教えてくれないような回答が返ってきました。 心が動く文章の書き方Mさん:わたしは、人の心を動かしたり、感動させられる

本はどうやったら売れるのか? 出版営業が語る「100万部のつくり方」

出版社の花形といえば編集。 でも、出版社には「営業」という仕事があります。 そして、有名な編集者ほど、転職する際には「その出版社に良い営業がいるかどうか」を基準にするという話も聞きます。そんな出版営業の役割とは? 今回は100万部突破のベストセラー『人は話し方が9割』を生んだ、「すばる舎」の営業部・副部長、原口大輔さんと「ライツ社」の代表取締役・営業責任者、高野の対談の模様をお伝えします。場所は大阪の「まちライブラリー もりのみやキューズモール」。イベント開催時の概要はこ

ひとりずつ、どの本を届けるか選んでいます「ブックサンタ」の舞台裏

この記事は2022年に公開されたものですが、ブックサンタは今年も実施中です!参加方法は変わりませんので、ぜひご参加ください。締め切りは12月24日のクリスマスイブまで。 昨年ライツ社も参加させてもらった「ブックサンタ」。 書店やオンラインで寄付した本はそのあと、どんな旅をして子どもたちのもとに届いているんでしょう。 運営団体の「チャリティーサンタ」は全国に42の支部があり、本部に届いた本が各支部に振りわけられ、そこからご家庭に届けられています。 今回はチャリティーサ

奈良のコンビニに書店の棚がやってきたら、意外な出会いが生まれた話

「書店のいい感じにセレクトされた棚が近くのコンビニにあったら便利なのにな……」。そんな希望を満たすお店が奈良にありました。 月替わりの選書や地元のお客さんおすすめの本が並んだ本棚。こんなコンビニの本棚見たことない。 奈良のコンビニオーナー楢原さんがはじめたのは、「店内の本棚のセレクトを地元の書店と協力して選書する」というもの。コンビニはいまや地域に密着した商店。街の書店が減り、空白地帯が増えていくなか、街の本屋さんとの新しい関係っておもしろい! ということでお話しを聞い

「山あいの書店は人口8000人の田舎町を支えるAmazonだった」 ウィー東城店@広島

広島県 庄原市 東城町。人口8400人弱の町にある「ウィー東城店」は、一見よくある郊外型の書店ですが、じつは出版業界どころか他業種からも注目されるお店。 広島県と岡山県の県境。広島市からは車で2時間弱の場所にあります。 商品は書籍を中心にCDや文具、化粧品はもちろんのこと、海苔、かつお節、唐辛子、お酢といった 食料品に、タバコまで。さらには美容室やエステコーナーを併設、敷地内にはコインランドリー、精米機、卵自販機もあり、これらはすべてお客さんの「あったらいいな」から実現し

中学生と絵本作家にインタビューしたら出版社も知らなかったこだわりを聞けました

ことしもライツ社に職場体験の中学生が来てくれました。しかも6人も。ちなみにライツ社の社員数も6人です。 「せっかく出版社に興味を持ってくれているんだから、いろんな体験をしてもらいたい」という一心で全員に来てもらいました。 1週間の期間中、編集や営業の仕事を体験、一緒に「明るい出版業界紙」の取材も体験してもらいました。人数が多いので、3人ずつ「絵本作家チーム」と「小説家チーム」にわかれての取材。 今回は画家・絵本作家のたなかしんさんへの取材の模様をお届けします。新作絵本『

目は見えなくてもハイクオリティ 文字起こし専門集団「ブラインドライターズ」

文字起こし。取材音声を聞きながらテキスト化していく作業ですが、これはライターにとってはかなりボリュームの大きい作業です。 ブラインドライターズは、ほとんどが視覚になんらかの障害のある方たちが所属する文字起こしのプロフェッショナル集団。ライツ社もお世話になっていますが、質のいい起こしを渡してくれます。 みなさんどうやって作業をしているんだろう。どうしてそんな高いクオリティを保っているんだろう。 今回はそんな疑問を胸にプロフェッショナルたちのお仕事の裏側を取材させてもらいま

本が飛ぶように売れた「二子玉川 本屋博」。しかけたのは本に出会う幸福な事故 

2日間で来場者3万3000人、本を1万126冊も販売。 規模がもはやフェスです。 2020年1月、40の個性ある本屋さんが集結して「二子玉川 本屋博」が開催されました。その盛り上がりから、こんなに本が売れるんだと、驚いた人も多いのでは。 出版不況? 「そんなの絶対に嘘だと思います」と語るのはこのイベントを企画・開催した、北田博充さん。 北田さんは「梅田 蔦屋書店」の店長であり、ひとり出版社「書肆汽水域」としても活動、取次会社でも10年間働かれていました。 「書店」「出

クリスマスを諦めていたおうちに届け。書店で本を買ってサンタになってきた。

この記事は2021年に公開されたものですが、ブックサンタは今年も実施中です!参加方法は変わりませんので、ぜひご参加ください。締め切りは12月24日のクリスマスイブまで。 「ブックサンタ」という取り組みをご存知でしょうか。 という、クリスマスシーズンに行う参加型のプログラムです。 ブックサンタは「厳しい状況に置かれている全国の子どもたちに本を届けること」を目的に2017年スタートした、全国のNPOと書店が連携したプロジェクト。書店に足を運ぶのが難しい方のために、専用オン

40歳からはじめた開業準備 「本屋ウニとスカッシュ」@長崎市

書店を開業したいと思った時、いろんなハウツーを読むのもいいですが、実際どうだったのか、リアルな開業話って気になりませんか? 仕入れはどうする?物件は?借り入れは?そして、その時の心境は? お声がけしたのは今年2月に開業した「本屋ウニとスカッシュ」略して「ウニスカ」さん。長崎市の路面電車の始発駅「蛍茶屋電停」そばの路地にオープンし、新刊や古本のほか、ZINEやハンドメイド雑貨を販売しています。 店主の河原さんに開業のきっかけや融資の裏話にいたるまでお話をお聞きしました。